金融政策決定会合議事要旨(6月15、16日開催分)
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2026.8.5日本銀行 政策委員会金融政策決定会合議事要旨(2026年6月15、16日開催分) 本議事要旨は、日本銀行法第 20 条第 1 項に定める「議事の概要を記載した書類」として、2026年7月30 、31日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。 公表時間8月5日(水) 8 時50分 本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合(引用は含まれません)は、予め日本銀行政策委員会室までご相談ください。引用・転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。 1
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(開催要領)1 .開催日時:2026年6月15日(14:00 ~15:57)6月16日( 9:00 ~12:12)2.場所:日本銀行本店3 .出席委員:議長氷見野良三(副総裁)(注)内田眞一(〃)中川順子(審議委員)高田創(〃)田村直樹(〃)小枝淳子(〃)増一行(〃)浅田統一郎(〃)(注)植田委員(総裁)は会合を欠席したため、日本銀行法第 16 条第5項の規定に基づき、氷見野委員が議長の職務を代理した。植田委員からは、政策委員会議事規則第5条第2項に基づき、議長を通じて、書面により意見が提出された。4 .政府からの出席者:財務省前田努大臣官房総括審議官(15日)中谷真一財務副大臣(16日)内閣府林幸宏内閣府審議官(15日)水田豊大臣官房審議官(経済財政運営担当)(16日 9:00~9:05)城内実経済財政政策担当大臣(16日 9:06~12:12)(執行部からの報告者)理事神山一成理事諏訪園健司理事正木一博理事中村康治企画局長奥野聡雄企画局政策企画課長井出穣治金融機構局長鈴木公一郎金融市場局長峯岸誠調査統計局長川本卓司調査統計局参事役須合智広国際局長近田健(事務局)政策委員会室長福田英司政策委員会室企画役三浦幸大企画局企画役八木智之企画局企画役福島駿介 2
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Ⅰ .金融経済情勢に関する執行部からの報告の概要1 .最近の金融市場調節の運営実績金融市場調節については、前回会合(4月27、28日)で決定された金融市場調節方針(注)に従って運営し、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、0.726~0.728% のレンジで推移した。この間、長期国債の買入れについては、2025年6月の会合で決定された減額計画に沿って、月間2.7 兆円程度の買入れを行った。2 .金融・為替市場動向短期金融市場では、翌日物金利のうち、無担保コールレートは0.75% 程度で推移した。G C レポレートは、無担保コールレート並みの水準で推移した。ターム物金利をみると、短国レート( 3 か月物)は、上昇した。わが国の株価( T O P I X )は、米欧の株価に連れて上昇した。長期金利(10年物国債金利)は、中東情勢を受けたインフレ圧力や、不確実性を意識した投資家の様子見姿勢などから、上昇した。国債市場の流動性指標をみると、総じてみれば、改善方向の動きが継続している。為替相場をみると、円の対ドル相場は、円高になる場面もみられたが、期間を通じてみれば、概ね横ばいとなった。円の対ユーロ相場は、ユーロが対ドルで減価したことから、円高方向の動きとなった。3 .海外金融経済情勢海外経済は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。
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米国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば堅調な成長を維持している。欧州経済は、一部に弱めの動きもみられるが、内需を中心に底堅さを維持している。中国経済は、消費に力強さを欠きつつも、輸出の増加などに支えられて、このところ持ち直している。中国以外の新興国・資源国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに改善している。先行きの海外経済は、当面、中東情勢等の影響が下押し圧力となるものの、その後は、中東情勢の影響が和らぐとの前提のもとで、グローバルな A I 関連需要にも支えられて、緩やかな成長を続けると考えら
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(注)「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.75%程度で推移するよう促す。」 3
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れる。先行きの見通しを巡っては、当面、中東情勢の今後の展開と、それが国際金融市場や世界経済に与える影響について注意が必要なほか、引き続き A I 関連のグローバルな需要動向や各国の通商政策の影響などについて、不確実性が高い。海外の金融市場をみると、中東情勢を巡る不確実性が引き続き意識されているものの、A I 関連企業の好調さもあり、市場センチメントは改善している。米欧の株価は、中東情勢を巡る不透明感が続いているものの、A I 関連企業の好調さなどから、期間を通じてみれば、上昇した。米国の長期金利は、中東情勢によるインフレ圧力の高まりや堅調な経済指標を受け、利上げ織り込みが進展したことから、上昇した。欧州の長期金利は、概ね横ばいとなった。この間、新興国通貨は、総じてみれば横ばい圏内で推移した。原油価格は、前回会合時対比でみれば米国・イラン間の交渉の進展期待から下落したものの、事実上のホルムズ海峡封鎖が続く中で、引き続き高値圏で推移した。4 .国内金融経済情勢( 1 )実体経済わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。先行きについては、当面は、グローバルなAI関連需要の堅調さや政府による各種施策が下支えとなるものの、エネルギー・原材料価格の高騰による交易条件悪化が下押しに作用することから、景気はいったん減速すると見込まれる。
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輸出は、中東情勢による下押しの影響とグローバルな A I 関連需要による押し上げの影響が相殺し、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。先行きは、グローバルな A I 関連需要の堅調さは情報関連や資本財を中心に押し上げ要因となる一方、中東情勢を受けた中東向けの自動車輸出の減少や素材産業の稼働率低下が下押し方向に作用することから、当面は、横ばい圏内の動きを続けると考えられる。鉱工業生産は、やや長い目でみれば、横ばい圏内の動きを続けている。先行きは、グローバルな A I 関連需要の堅調さや経済対策にも支えられた設備投資需要の底堅さは下支え要因となるものの、中東情勢を受けた素材産業等の生産調整が下押し要因として作用することから、全体としては横ばい圏内の動きを続けると見込まれる。企業収益は、グローバルな A I 関連需要の堅調な増加を背景に、高水準で推移している。こうしたもとで、設備投資は、緩やかな増加傾向にある。先行きの設備投資は、既往の投資案件の受注残を解消する
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動きが下支えに作用するものの、エネルギー・原材料価格上昇や建設コストの上昇による下押し圧力が強まってくることから、増勢は徐々に鈍化していく可能性が高い。個人消費は、家計マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。消費活動指数(実質・旅行収支調整済)をみると、1 ~ 3月に増加したあと、4月の 1 ~ 3月対比も、耐久財を中心に大きめの増加となっている。企業からの聞き取り調査や業界統計、高頻度データに基づくと、5月以降の個人消費は、増勢を維持しているとみられる。消費者マインドは、不安定な中東情勢やガソリン価格上昇を受けて急激に悪化していたが、足もとでは、家計の物価見通しの若干の低下に伴い、悪化に歯止めがかかっている。先行きの個人消費は、当面は、既往の経済対策や政府によるエネルギー負担緩和策は下支えとなるものの、財価格を中心とした物価上昇による実質購買力の低下を主因に、減速する可能性が高い。労働需給は、引き締まった状態が続いている。そうしたもとで、雇用・所得環境は、緩やかに改善している。就業者数は、足もとでは前年比 1% 程度までプラス幅が拡大している。一人当たり名目賃金は、振れを伴いつつも、着実な上昇を続けている。先行きの雇用者所得は、振れを伴いつつも、当面、現状程度のペースで着実な増加を続けると見込まれる。
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物価面について、商品市況をみると、原油価格は、中東情勢の不安定化を背景に急激かつ大幅に上昇したあと、足もとにかけて低下しているが、依然として高値圏で揉み合いとなっている。銅価格は、中東情勢の影響を受けつつも、はっきりとした上昇傾向にある。この間、食料の市況価格は、足もとでは小幅ながら上昇に転じている。国内企業物価の前年比は、中東情勢の影響を受けた石油・石炭製品や化学製品の大幅な上昇が押し上げ要因となるもとで、グローバルな A I 関連需要の増加による非鉄金属や機械類の上昇も加わり、上昇率がはっきりと高まっている。企業向けサービス価格(除く国際運輸)の前年比は、人件費上昇等を背景に高めの伸びを続けているが、前年度にみられた値上げの一巡などから上昇率が低下傾向にあり、足もとでは 2%台半ばとなっている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響もあって 2% を上回って推移してきたが、足もとでは、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、1% 台半ばとなっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。先行きの消費者物価の前年比は、目先は政府によるエネルギー負担緩和策は下押し要因と
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なるものの、中東情勢等を受けたエネルギー・原材料価格の上昇の影響が財価格を中心に波及していくのに伴い、再びプラス幅を拡大していくとみられる。( 2 )金融環境わが国の金融環境は、緩和した状態にある。実質金利は、マイナスで推移している。企業の資金調達コストは、上昇している。資金需要面をみると、経済活動の回復や企業買収の動きなどを背景に、増加している。資金供給面では、企業からみた金融機関の貸出態度は、緩和した状態にある。C P ・社債市場では、良好な発行環境となっている。こうした中、銀行貸出残高の前年比は、6%台前半となっている。C P ・社債計の発行残高の前年比は、8% 程度となっている。企業の資金繰りは、良好である。企業倒産は、横ばい圏内で推移している。この間、マネーストックの前年比は、2%台半ばとなっている。Ⅱ .金融経済情勢に関する委員会の検討の概要1 .経済・物価情勢国際金融資本市場について、委員は、中東情勢を巡る不確実性が引き続き意識されているものの、A I 関連企業の好調さもあり、市場センチメントは改善しているとの見方を共有した。ある委員は、AI 関連需要を背景とした設備投資の拡大によって、世界的に企業業績の改善が展望されており、これが原油価格上昇に伴う交易条件の悪化を緩和する方向に作用していることなどから、多くの国で株価が史上最高値を更新していると述べた。
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海外経済について、委員は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長しているとの認識を共有した。先行きについて、委員は、当面、中東情勢等の影響が下押し圧力となるものの、その後は、中東情勢の影響が和らぐとの前提のもとで、グローバルな A I 関連需要にも支えられて、緩やかな成長を続けるとの見方で一致した。ある委員は、エネルギーの中東依存度が高い N I E s・A S E A N を含め、サプライチェーンに大きな混乱は生じておらず、中東情勢を受けた大幅な景気悪化懸念は一頃より低下している一方、原油価格の高止まりを念頭に、多くの国で物価上昇リスクが意識されているとの認識を示した。
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米国経済について、委員は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば堅調な成長を維持しているとの認識で一致した。ある委員は、AI 関連需要の拡大や減税による経済の押し上げ効果もあって成長率が上昇しているほか、最近では雇用も回復に向かっており、経済成長の底上げが続いているとの見方を示した。欧州経済について、委員は、一部に弱めの動きもみられるが、内需を中心に底堅さを維持しているとの認識を共有した。中国経済について、委員は、消費に力強さを欠きつつも、輸出の増加などに支えられて、このところ持ち直しているとの見方を共有した。中国以外の新興国・資源国経済について、委員は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに改善しているとの認識を共有した。ある委員は、中東情勢の影響度合いや A I 関連需要拡大の恩恵の受け方は新興国の中でも区々であることから、個別の動向をしっかりとみていく必要があると指摘した。以上のような海外の金融経済情勢を踏まえて、わが国の経済情勢に関する議論が行われた。わが国の景気について、委員は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復しているとの見方を共有した。
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多くの委員は、A I 関連需要の強さなどを背景とした好調な企業収益、賃金のしっかりとした上昇、政府による各種施策や原材料の代替調達の進展などから、これまでのところ、経済が大きく下振れるリスクは顕在化していないとの認識を示した。そのうえで、何人かの委員は、わが国経済は、減速はするものの前向きの循環は途切れないという、4月の展望レポートの中心的な見通しに概ね沿って推移しているとの見解を示した。ある委員は、世界的な A I 需要拡大によるディマンドショックで海外経済が上振れるもと、原油価格上昇に伴う交易条件悪化は緩和され、景気減速懸念は後退していると述べた。景気の先行きについて、委員は、① 原油価格上昇に伴う交易条件の悪化などから、成長ペースは減速するものの、企業部門における高水準の収益や政府による各種施策、緩和的な金融環境などが経済を下支えするため、わが国経済は緩やかな成長を続ける、② その後は、原油高のマイナスの影響が減衰し、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まっていくことから、成長率を緩やかに高めていくとの認識を共有した。大方の委員は、前回会合以降、官民の様々な努力によって、中東依存度の高い原材料の代替調達が進んでいることを踏まえると、供給制約が強まり、わが国企業の生産活動に大きな影響が
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生じる可能性は低下しているとの認識を示した。このうちのある委員は、将来の調達に対する不確実性から、一部では高値で購入して在庫を増やす動きもみられているが、そうした動きは、塗料など調達力の弱い品目に限られており、景気全般に影響する可能性は小さいとの見解を示した。輸出や鉱工業生産について、委員は、基調としては横ばい圏内の動きを続けているとの認識を共有した。ある委員は、好調な A I 関連需要を背景に、情報関連が足もとの生産を牽引しているほか、米国やアジア向け輸出が底堅く推移していると指摘した。設備投資について、委員は、企業収益が、グローバルな A I 関連需要の増加を背景に高水準で推移しているもとで、緩やかな増加傾向にあるとの認識を共有した。個人消費について、委員は、家計マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移しているとの認識で一致した。何人かの委員は、良好な企業業績を背景とする安定した雇用・賃金環境と、政府のエネルギー負担緩和策などによる家計への所得移転効果が、物価上昇のもとでも個人消費を支えていると指摘した。このうちの一人の委員は、L N G 価格の値上がりに伴う今後の電力価格上昇に対しても、政府による補助が予定されており、消費意欲の減退は避けられるとの見方を示した。雇用・所得環境について、委員は、緩やかに改善しているとの見方を共有した。
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多くの委員は、企業収益が高水準で推移するもとで、本年の春季労使交渉(春闘)では、大企業だけでなく、相対的に規模が小さい企業でも賃上げ率は 5% 程度となっており、3年連続でしっかりとした賃上げが実現しているとの認識を示した。このうちのある委員は、中小企業については、中東情勢の影響により賃上げに慎重になるのではないかと懸念していたが、春闘の結果をみると、予想に反して足もとでも底堅い回答が続いていると付け加えた。こうした点に関し、一人の委員は、賃金改定にあたって最も重視する要素として自社の収益動向を挙げる企業が多いことを踏まえると、今後とも、原油高による企業収益の下押しが、賃上げのモメンタムに及ぼす影響を丁寧に確認していく必要があると指摘した。また、この委員は、賃上げに際しては、人手の確保という要素も重視されているため、人手不足を理由とするⅯ& A や廃業の実態、転職を伴う賃上げの動向など、企業活動や賃金の設定状況を多面的にみていくことが重要であると述べた。
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物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響もあって 2% を上回って推移してきたが、足もとでは、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、1% 台半ばとなっているとの認識で一致した。ある委員は、足もとでは食料品価格は落ち着いてきているが、最近の値上げ品目の増加等を踏まえると、全体として、4月の展望レポートの見通しに概ね沿った動きであるとの見方を示した。何人かの委員は、消費者物価は、政府による各種施策の影響を除くと 2% 台で推移していると指摘したうえで、こうした施策は、特定の財・サービスの価格水準を調整することによって家計の実感に働きかける効果があるが、基調的な物価上昇率を把握するうえでは、その要因を除いてみる必要があるとの認識を示した。このうちの一人の委員は、1% 台半ばという物価上昇率は、家計の実感に近いのかもしれないが、一方で、補助金の対象外の品目の価格は、かなり高い伸びを続けていることも意識する必要があると述べた。そのうえで、この委員は、最近の企業間取引の価格上昇などを踏まえると、1% 台半ばという数字が、胎動する物価上昇の実態を覆い隠している面もあると指摘した。
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企業間取引の価格動向について、大方の委員は、足もとの国内企業物価は前年比 6% を超える高い伸び率となっており、川上や川中段階では、原油高を起点に価格転嫁がやや速いスピードで進んでいるとの認識で一致した。このうちのある委員は、最近の企業物価指数の動きをみると、4月にナフサやエチレンなど川上の基礎化学品の価格が急騰したあと、 5月は、合成樹脂やプラスチック製品など川中の素材・加工品での価格上昇が目立っており、原油高の直接的な影響がはっきりと表れていると指摘した。別の一人の委員は、川上企業の決算発表やヒアリング情報をみると、今次局面では、過去の仕入価格上昇時に比べ、販売価格改定までの期間が短期化しているとの認識を示した。ある委員は、エネルギーや食料品以外の財についても、既に川下段階での価格上昇がみられているが、これは、最近の円安を受けた価格転嫁を相応に映じたものであるとの見方を示した。この間、予想物価上昇率について、委員は、緩やかに上昇しているとの見方で一致した。ある委員は、市場参加者のインフレ期待を示すブレーク・イーブン・インフレ率は 2% を超える水準まで上昇してきているほか、長短金利差も拡大するなど、中長期の予想物価上昇率に動意がみられると指摘した。一人の委員は、企業や家計の予想物価上昇率は、既に 2% 程度まで高まってきているとの認識を示した。別の
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ある委員は、各種の政策効果などから足もとの消費者物価の上昇率が1% 台半ばで推移していることが、人々の予想物価上昇率の上昇を抑えている面があるが、今後の動向は注視していく必要があると述べた。物価の先行きについて、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きが続くもとで、原油価格上昇が、エネルギー価格や財価格を中心に押し上げ方向に作用することから、2% をはっきりと上回る水準まで伸び率を高めていくと予想され、その後は、原油高の影響が減衰していくもとで、2% 程度に向けてプラス幅を縮小していくと予想されるとの認識を共有した。また、委員は、この間、人手不足感の強い状況が続く中で、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくとの見方で一致した。そのうえで、大方の委員は、消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まっていくと予想され、2026年度後半から2027年度にかけて「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となり、その後も同程度で推移すると考えられるとの認識を共有した。これに対して、ある委員は、基調的な物価上昇率を含め、消費者物価は既に概ね「物価安定の目標」に達する水準にあるとの認識を示した。
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また、別のある委員は、基調的な物価上昇率は 2% の「物価安定の目標」と既に概ね整合的な水準で推移しているとの見解を示した。消費者物価の見通しについて、大方の委員は、原油価格上昇を起点に企業間取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んでおり、これが、今後、消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性があるとの認識を示した。複数の委員は、最近の値上げ報道や企業ヒアリングの情報等を踏まえると、夏頃には川下の消費者段階でも値上げ品目の増加が見込まれ、今年度後半にかけて消費者物価は相応に押し上げられる可能性が高いとの見解を示した。ある委員は、企業業績や株価がある程度堅調さを保てば、その効果が波及するかたちで値上げの動きが継続し、物価上昇圧力が持続すると考えていると述べた。この間、一人の委員は、今後、中東における戦闘が終結し、原油価格が下落したとしても、代替調達に伴って輸送・保管コスト等が上昇していることを踏まえると、物価上昇圧力は残存するとの見方を示した。また、別のある委員は、戦闘終結後もホルムズ海峡の安全な通行が完全に確保されるまでには時間を要すると思われるほか、将来に亘って原油調達先が米国などに分散されると考えられるため、原油の調達コストは高止まりするとの認識を示した。経済・物価の見通しのリスク要因として、委員は、当面は、今後の
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中東情勢の展開が、金融・為替市場やわが国の経済・物価に及ぼす影響をとくに注視する必要があるとの認識で一致した。中東情勢について、委員は、米国およびイラン双方が戦闘終結等に関する覚書に合意した旨を発表するなど、様々な動きがみられているものの、今後の物流の回復ペースなどを含め、依然として不透明な状況が続いているとの見方を共有した。そのうえで、中東情勢がわが国の経済に及ぼす影響について、大方の委員は、これまでの原油価格上昇は景気の下押し要因となっているものの、高水準の企業収益などが経済を下支えする方向に作用していることに加え、政府による各種施策の効果が今後も見込まれることや、中東依存度の高い原材料の代替調達が進展していることなどを踏まえると、経済が大きく下振れるリスクは一頃よりも低下しているとの認識で一致した。一人の委員は、4月の決定会合時点と比べ、原油やナフサなどの代替調達の進展がデータでも確認できるようになっているほか、戦闘終結に向けた合意などもあり、原材料の供給制約が大幅に強まるリスクは低下していると指摘した。
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中東情勢がわが国の物価に及ぼす影響について、大方の委員は、原油高を起点に企業間取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んでおり、これが、今後、消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性がある中、中長期の予想物価上昇率が引き続き上昇していることも踏まえると、基調的な物価上昇率が 2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクがあるとの認識で一致した。多くの委員は、原油価格上昇の影響が、既に川中の企業物価にまで波及する中、企業の価格設定行動が積極化していることを踏まえると、今後、物価上昇につながるリスクをより懸念する状況にあるとの認識を示した。何人かの委員は、企業の賃金・価格設定行動が積極化する中、原油高によるコスト上昇分だけではなく、これまでの人件費や輸送費の上昇分を価格転嫁する動きが広がり、消費者段階の価格上昇が上振れるリスクが高まっているとの見解を示した。このうちの一人の委員は、足もとの企業向けサービス価格指数のうち、自動車貨物輸送が大きく上昇していることを指摘したうえで、こうした物流費の上昇は物価に広く波及するものであるため、基調的な物価上昇率に影響するおそれがあると指摘した。別の一人の委員は、原油高を受けた包装資材の価格上昇をきっかけとして、仕入コストの上昇分以上に販売価格を引き上げる動きにつながるかどうかに注目する必要があると指摘した。
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ある委員は、ロシアによるウクライナ侵攻後の資源価格高騰時と比べると、雇用・所得環境の改善、企業・家計のインフレ予想の
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高まり、企業の価格設定行動の積極化といった変化が生じており、労働需給がマクロ的な需給ギャップ以上に引き締まっていることなども踏まえると、足もとの物価の上振れリスクは、当時よりもかなり大きいとの認識を示した。そのうえで、この委員は、欧米と異なり、わが国では中長期の予想物価上昇率が 2%程度にアンカーされていないため、先行き、これが 2% を超えて大きく上振れるリスクもあると付け加えた。この間、物価上昇の賃金への波及について、複数の委員は、わが国の労使関係を踏まえると、賃金と物価がスパイラル的に急上昇する可能性は高くないと指摘した。そのうえで、このうちのある委員は、二桁のインフレを心配する必要は今のところないが、企業ヒアリングによれば、中東情勢の影響により業績が悪化したとしても、人材の確保や人的投資の観点から、来春もしっかりとした賃上げを行うという企業が多いことから、物価から賃金への二次的波及が一定程度生じる可能性はあるとの見方を示した。こうした議論を踏まえ、大方の委員は、中東情勢の影響は景気には下押し、物価には上押しの効果を持つが、足もとの状況を踏まえれば、物価上振れのリスクをより重視する必要があるとの見解を示した。
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これに対して、ある委員は、中東紛争が終結で合意したとはいえ、紛争に起因する供給ショックは、物価の上振れリスクよりも生産・雇用の下振れリスクの方が大きいとの認識を示したうえで、生産・雇用の下振れリスクは、賃金と物価の好循環を阻み、最悪の場合、長期のデフレから脱却してインフレ期に移行したようにみえる日本経済を再びデフレに逆戻りさせる可能性があると指摘した。このほか、委員は、中東情勢以外の主なリスク要因として、グローバルなAI関連需要の動向や今後の為替相場の変動が、わが国の経済・物価に及ぼす影響にも留意が必要であるとの認識で一致した。複数の委員は、グローバルな A I 関連需要が、想定以上に経済・物価を上押ししている可能性があるとの認識を示した。このうちのある委員は、今後、原油価格が下落するにしても、A I 関連を中心とした海外発のディマンドショックに伴い、半導体メモリや銅などの需給がひっ迫するもとで、石油関連以外も含め物価上振れに広がりが生じる蓋然性が高いとの見方を示した。2 .金融面の動向わが国の金融環境について、委員は、緩和した状態にあるとの認識で一致した。多くの委員は、実質金利は短中期ゾーンを中心にマイナ
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スとなっているほか、企業等の資金需要は増加しており、C P ・社債市場でも良好な発行環境が続いていると指摘した。このうちのある委員は、インフレ期待に動意がみられる中、実質金利マイナスによる貸出や C P 発行の増加、資産価格上昇の連鎖が生じていると述べた。何人かの委員は、これまでの利上げによっても、企業の資金繰りや金融機関の貸出態度に変化はないほか、銀行貸出は、経済活動の回復に伴う資金需要の全般的な増加や旺盛な企業買収に伴う資金ニーズの高まりなどから、一段と伸びを高めていると指摘した。このうちのある委員は、銀行貸出は、コロナ禍などの特殊な時期を除くと 2000年以降で最も高い伸び率となっていると指摘したうえで、不動産向けを含め、貸出増加の背景を丁寧に把握していく必要があると述べた。Ⅲ.長期国債の買入れ計画に関する執行部説明執行部は、まず、国債市場の動向や機能度の評価について、以下のとおり説明した。⚫ 国債買入れの減額が進捗するもとで、債券市場サーベイにおける機能度判断 D Iは、直近の 5月調査においてマイナス幅がはっきりと縮小しており、米国の関税政策発表をきっかけにマイナス幅が大きく拡大する前のピークである2025年2月調査時点と概ね同程度まで改善している。現物国債市場のディーラー間取引高も、増加基調を辿っている。
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現物新発債のビッド・アスク・スプレッドの動きをみると、10年金利の変動が比較的大きかった中にあっても、目立って拡大することがなかった。⚫ 既発債についても、市場機能度の改善がみられている。イールドカーブをみると、以前は、日本銀行の国債保有比率がとくに高かった7~ 10年ゾーンの金利が下方に凹んでいたが、国債補完供給にかかる減額措置の実施等が市中流通量の増加に寄与したことなどから、最近では、こうした歪みも概ね解消している。国債市場における日本銀行のプレゼンスが、新発債だけでなく既発債でも低下する中、国債補完供給の利用も、最近では低水準となっている。⚫ これらの点を踏まえると、国債買入れの減額が進捗するもとで、国債市場の機能度は着実に改善しているとの評価が可能である。次に、執行部は、 5月21、22日に開催した債券市場参加者会合において聞かれた国債市場の動向や機能度および長期国債の買入れ計画に関する市場参加者の意見を報告した。⚫ 国債市場の動向については、金利先高観などを背景とした投資家
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の慎重な投資スタンスなどから、需給が緩和しているといった評価があった。もっとも、そうした中にあっても、国債市場の機能度は改善傾向を辿っているとの意見が多く、その背景として、日本銀行の国債買入れの減額や国債補完供給に関する各種措置が奏功したことが指摘されている。⚫ 現行の長期国債買入れの減額計画については、修正を求める声はほとんど聞かれなかった。⚫ 2027年4月以降の長期国債の買入れについては、「減額を停止すべき」と「減額を継続すべき」の両方の意見があった。「減額を停止すべき」とする意見は、昨年時点ではほとんど聞かれなかったが、今年は、多数派とはいえないものの相応にみられた。そこでは、減額を停止したとしても、日本銀行の国債保有残高や当座預金残高は着実に減少していくことが意識されているほか、減額を継続した場合の国債需給に及ぼす影響も指摘された。一方、「減額を継続すべき」との意見の中には、来年4月以降も現在の減額ペースを維持すべきとの意見や、減額ペースを緩和することが適当との意見がみられたほか、少数ではあるが、最終的には買入れ額をゼロにすることを目指すべきとの意見もあった。⚫ このほか、国債買入れの運営面では、これまでと同様、定期的な点検を行うことが適当との声が聞かれた一方、従来のような中間評価は不要であり、よりオートパイロット的な運用への移行を求める声もあった。
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この間、必要に応じて臨時オペ等の機動的な対応を求める意見も、引き続き聞かれた。そのうえで、執行部は、こうした国債市場の動向や機能度および市場参加者の意見などを踏まえると、長期国債の買入れ計画については、以下のとおりとすることが考えられるとの説明を行った。⚫ 長期金利は金融市場において形成されることが基本であり、日本銀行による長期国債の買入れは、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能なかたちで行っていくことが適切である。⚫ 国債買入れの減額が進捗するもとで、国債市場の機能度は着実に改善しており、一頃に比べ、買入れの減額を通じて、市場機能の更なる改善を進めていく必要性は次第に小さくなってきている。⚫ 一方、日本銀行の国債保有が減少すれば、その分、市場参加者が保有する国債が増加する。銀行や個人といった本邦投資家が、国債保有を無理なく増やしていくためには、ある程度の時間が必要
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であり、従来と同様の減額を継続した場合、市場の安定に不測の影響を及ぼす可能性がある。⚫ こうした観点からは、以下のような制度設計が考えられる。· 減額幅・買入れペースは、2027年1 ~ 3月までは従来の減額計画を維持し、原則として毎四半期2,000 億円程度ずつ減額する。2027年4月以降は、月間 2 兆円程度の買入れを行う。· 残存期間別の買入れ額は、金融市場局が国債市場の動向を踏まえつつ適宜設定する。· 長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。· 今後、長期国債の買入れ計画の中間評価は実施しないが、国債買入れの基本的な考え方や国債市場の動向等を踏まえ、必要な場合には、金融政策決定会合において、買入れのペースを見直すこともあり得る。Ⅳ.金融政策運営に関する委員会の検討の概要以上のような金融経済情勢に関する認識と長期国債の買入れ計画に関する執行部説明を踏まえ、委員は、金融政策運営に関する議論を行った。まず、委員は、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、議論した。
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大方の委員は、金融経済情勢に関する討議を踏まえると、わが国経済は、4月の展望レポートで示した中心的な見通しに概ね沿って推移しているほか、物価面では、基調的な物価上昇率が 2% の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクがあるとの認識を共有した。すなわち、実体経済面では、大方の委員は、原油価格上昇は景気の下押し要因となっているものの、高水準の企業収益や雇用・所得環境の改善が経済を下支えする方向に作用しているほか、政府によるエネルギー負担緩和策等の効果や中東依存度の高い原材料の代替調達の進展から、経済が大きく下振れるリスクは一頃よりも低下しているとの認識を共有した。物価面では、大方の委員は、原油高を起点に企業間取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んでおり、これが、今後、消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性があることに加え、中長期の予想物価上昇率が引き続き上昇している
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ことも踏まえると、基調的な物価上昇率が 2% の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクがあるとの見方で一致した。こうした認識を共有したうえで、ある委員は、前回会合以降、代替調達の進展に加え、戦闘終結に向けた合意もあり、供給制約が高まるリスクは緩和したものの、中東情勢の帰趨を巡る不確実性と物流への影響が続いている中、物価上昇リスクがあることを踏まえると、今回、政策金利を調整することが適当であるとの見解を示した。一人の委員は、為替要因からも輸入価格が上昇していると指摘したうえで、こうした物価上昇が経営負担増となる企業は中小零細を含め相応にあるとみており、緩和度合いの調整は以前より適切となっていると付け加えた。別のある委員は、日本の実質金利は世界の中でも突出して低い一方、更なる物価上振れが懸念されることから、実質金利の水準を調整することが必要であるとの認識を示した。以上の議論を踏まえ、大方の委員は、2% の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、今回の会合で政策金利を0.25% 引き上げ、1.0% 程度とすることが適当であるとの認識を共有した。これらの委員は、① この方針を実現するため、補完当座預金制度の適用利率を1.0% とする、 ② 基準貸付利率についても、0.25%引き上げ 1.25% とすることが適切である、との認識を共有した。
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そのうえで、大方の委員は、今回の会合で政策金利を引き上げても、緩和的な金融環境は維持されるとの認識を共有した。何人かの委員は、政策金利引き上げ後の実質金利の水準や企業や家計の資金調達環境なども踏まえると、今回の利上げは緩和の範囲内の調整であり、引き続き、わが国経済をしっかりとサポートしていくと考えられるとの見解を示した。このうちのある委員は、政策金利を少しずつ中立的な水準に近づけていくことは、長い目でみて経済と物価の安定につながると指摘した。そのうえで、複数の委員は、政策金利の変更後も緩和的な金融環境は維持されるとはいえ、利上げによるマイナスの影響を指摘する声もある中、引き続き、金利の上昇とともに金融環境がどのように変化していくかを丁寧に確認していく必要があると述べた。このうちの一人の委員は、住宅ローンを抱える世帯の大半は現役世代であり、その半数程度が子育て世代であると指摘したうえで、家計に対する利上げの影響を考える際には、こうした属性の違いに加え、預金金利の上昇や教育無償化等の施策の効果なども併せて、全体的に評価する必要があると指摘した。この間、複数の委員は、このところの長期金利の上昇は、中東情勢の影響などを受けたインフレ懸念の高まりが主因であることを踏まえると、物価の安定を目的とする政策金利の引
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き上げは、長期金利の安定にもつながるとの認識を示した。一方、別の一人の委員は、中東情勢の影響について、物価の上振れリスクよりも生産・雇用の下振れリスクの方が大きいと考えられる中にあって、政策金利の引き上げは、企業の設備投資抑制を通じて総需要を抑制し、インフレ率の低下と生産・雇用の低下を同時に誘発する可能性があるため、現時点では見送るべきであるとの見解を示した。先行きの金融政策運営について、委員は、基調的な物価上昇率が2% に近づいている中、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適当であるとの認識で一致した。そのうえで、調整のタイミングやペースについては、中東情勢の展開がわが国経済・物価に及ぼす影響を注視したうえで、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら、検討していくことが重要であるとの認識を共有した。何人かの委員は、今回の政策金利の引き上げ後も、金融環境は引き続き緩和的であると考えられるため、経済・物価が見通し通りに推移すれば、利上げを進めていくというこれまでの方針を維持すべきであるとの見解を示した。
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一人の委員は、米欧と異なり、わが国の政策金利は中立金利の推計レンジを下回っているが、上下両睨みで機動的な政策判断が行えるよう、可能な限り早く中立金利に近づけていく必要があるとの認識を示した。別のある委員は、将来時点で急激・大幅な利上げを避けるには、政策金利を中立金利に早めに近づけるべきであると述べた。そのうえで、この委員は、わが国の中立金利は 2%程度と考えられ、これを念頭に数か月に一度のペースで、経済・物価・金融情勢を確認しつつ、都度、利上げを検討していくことが望ましいとの見解を示した。この間、公表文の中の先行きの金融政策運営に関する一部記述について、ある委員は、従来の「実質金利がきわめて低い水準にある」という表現は、今回の政策金利の調整と、中立金利の推計のばらつきなどを踏まえると、修正することが適当であると指摘した。この点に関し、別の一人の委員は、金融緩和度合いの評価は、実質金利の水準だけでなく、金融環境に関連する幅広い指標を点検して行っていることを踏まえると、当該表現は「現在の金融環境が緩和的である」に変更した方が説得的であると述べた。次に、委員は、長期国債の買入れ計画について議論した。委員は、長期金利は金融市場において形成されることが基本であり、日本銀行による長期国債の買入れは、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能なかたちで行っていくことが適切で
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あるとの認識で一致した。そのうえで、委員は、先行きの予見可能性に配慮する観点から、 2027年3月までの月間の買入れ予定額に加えて、2027年4月以降の国債買入れ額を示すことが適当であるとの認識を共有した。また、柔軟性を確保する観点から、従来同様、長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額等を実施し得るとすることが適切であるとの認識で一致した。続いて、委員は、具体的な国債買入れ額について検討した。まず、2027年3月までの取り扱いについて、委員は、従来の減額計画を維持し、原則として毎四半期2,000 億円程度ずつ減額していくことが適切であるとの見解で一致した。何人かの委員は、この間、長期金利が上昇する中にあっても、大多数の市場参加者は従来の計画を維持することを支持しており、予見可能性を重視する観点からも、これを変更する理由はないとの認識を示した。次に、委員は、市場機能の改善と国債市場の安定という二つの要素を考慮しつつ、2027年4月以降の取扱いについて議論した。大方の委員は、日本銀行による国債買入れの減額が進捗するもとで、国債市場の機能度は着実に改善しており、一頃に比べ、買入れの減額を通じて市場機能の更なる改善を進めていく必要性は次第に小さくなってきていると指摘した。
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また、大方の委員は、日本銀行の国債保有が減少すれば、その分、市場参加者が保有する国債が増加することになるが、銀行や個人といった本邦投資家が国債保有を無理なく増やしていくためには、ある程度の時間が必要であることを踏まえると、従来と同様の減額を継続した場合、市場の安定に不測の影響を及ぼす可能性があるとの認識を共有した。そのうえで、これらの委員は、2027年4月以降は国債買入れの減額を停止し、月間 2 兆円程度の買入れを行うことが適当であるとの見解を示した。このうちのある委員は、国債買入れの減額を停止したとしても、日本銀行による買入れ額は国債発行額の 2 割以下になることから、「長期金利は市場で自由に決まる」という市場機能を阻害することはないと考えられるとの見解を示した。そのうえで、この委員は、非伝統的な金融政策が採られていなかったリーマン・ショック以前の買入れ額が、国債発行額対比で 2 割弱であったことを踏まえると、買入れ額は平常ペースに戻るとも言えると述べた。一人の委員は、日本銀行の買入れ減額により、国債市場に歴史的な供給圧力が生じていると指摘したうえで、市場機能も急速に回復し、長期・超長期ゾーンの実質金利も海外並みとなる中、来年4月以降の減額停止が妥当であるとの見解を示した。別のある委員は、日
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本銀行の国債保有に伴うストック効果を通じた長期金利の押し下げ効果をなるべく維持する観点から、減額停止が妥当であるとの認識を示した。別の一人の委員は、現在の買入れ減額のスキームは今年度末で取り止め、来年度以降は、一頃よりは縮小した買入れ規模を保ちつつ保有国債の償還を安定的に進めるフェーズに入ってよいとの認識を示したうえで、この場合も、今後数年間は、償還額が買入れ額の 2倍はある状況が続くと指摘した。この点に関し、ある委員は、国債買入れの減額を停止しても、買入れる国債の平均年限等が変わらない場合、発行残高に対する日本銀行の国債保有比率は、いずれ満期償還によりかなりの水準まで圧縮されると述べた。そのうえで、多くの委員は、減額を停止した場合でも、日本銀行のバランスシートが着実に縮小していく点は、対外的にしっかりと説明することが望ましいと指摘した。これらの議論に対し、ある委員は、長期金利の形成は市場と市場参加者に委ねるべきであり、可能な限り早く日本銀行の国債保有残高の水準を正常化すべきであるとして、2028年1 ~ 3月まで、原則として毎四半期2,000 億円程度ずつ減額していくことが適切であるとの意見を述べた。
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この委員は、かつての大規模な国債買入れの目的は金融緩和であり、現在の環境でその必要はないと指摘したうえで、国債市場に混乱は生じておらず、買入れ額の減額を停止すべき理由は全くないとの認識を示した。また、この委員は、国債買入れの狙いが財政ファイナンスや長期金利の引き下げと市場に受け取られると、市場にバイアスを与え、日本銀行の信認に悪影響を及ぼすことになりかねないと付け加えた。この点に関し、何人かの委員は、国債買入れの減額停止は、国債市場が不安定化し、経済にマイナスの影響を及ぼす事態を避けるための措置であり、財政に対する配慮ではないことはしっかりと説明する必要があるとの認識を示した。また、一人の委員は、市場安定への配慮が必要であるといっても、国債買入れの具体的なペースは、大規模緩和終了に伴う激変緩和という視点で検討すべきであり、長期金利やイールドカーブの操作が目的ではないことは、明確にすべきとの見解を示した。この間、複数の委員は、現時点で買入れのペースを見直すことは想定されないが、将来的には、市場の動向や市場参加者の意見などを踏まえたうえで、買入れペースを見直す可能性があることについては、予め示しておくことが望ましいとの意見を述べた。こうした議論を踏まえ、委員は、予見可能性と柔軟性のバランスを考慮し、今後、長期国債の買入れ計画の中間評価は実施しないが、国債買入れの基本的な
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考え方や国債市場の動向等を勘案し、必要な場合には、金融政策決定会合において、買入れのペースを見直すこともあり得るとすることが適切であるとの認識で一致した。このほか、委員は、日本銀行のバランスシートのあり方についても議論した。ある委員は、大き過ぎるバランスシートの問題点として、海外では、過剰なマネーの供給、国債を購入し続けることに伴う財政との関係の曖昧化、中央銀行が負担する金利リスクの大きさなどが指摘されており、こうした観点からも、着実にバランスシートを縮小していくことが重要であるとの認識を示した。一人の委員は、規制強化やデジタル化などの環境変化から、金融システムが必要とする準備預金額がかつてに比べて増加している可能性があると述べ、将来的には、その時点の金融経済情勢等を踏まえ、適切な準備預金額の規模を探っていく必要があると述べた。別の一人の委員は、今後、日本銀行の準備預金の水準が減少していけば、その過程で、短期金融市場に及ぼす影響を含め、最適なバランスシートの規模に関する具体的な分析を深めていくことができるとの認識を示した。別のある委員は、成長経済においては、日本銀行の国債保有額が概ね妥当と考えられる水準まで低下したあとは、バランスシートの規模を名目 G D P の成長率に概ね比例的なかたちで増加させていくことが適当であるとの見解を示した。
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このほか、複数の委員は、日本銀行の国債買入れについては、これまでのところ、主にその規模が論点になっているが、将来のバランスシートへの影響という点では、先行き、買入れ年限のあり方がより重要になってくると指摘した。こうした議論を経て、何人かの委員は、将来的に望ましいバランスシートの規模や資産・負債の構成については、今後の国債保有残高の推移や経済・金融環境の変化を踏まえながら、この先、時間をかけて検討していく必要があるとの認識を示した。Ⅴ .政府からの出席者の発言以上の議論を踏まえ、政府からの出席者から、会議の一時中断の申し出があった。議長はこれを承諾した(11 時 12 分中断、11 時 29 分再開)。内閣府の出席者から、以下の趣旨の発言があった。⚫ 日本経済は、緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある。⚫ 今回の利上げにつき説明責任を果たすとともに、過度な景気変動が生じた場合には主体的かつ適切な対応が重要である。今後の成長
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20 型経済への変化が重要であり、マクロの需給動向と物価の関係の慎重な確認が必要である。⚫ 国債買入れについては、バランスシート縮小がもたらすマクロ的な影響の確認、市場安定のための適切な対応が必要である。⚫ 以上を含め、高市内閣が進める危機管理投資・成長投資等の取組につき理解の上で適切な政策運営を期待する。また、財務省の出席者から、以下の趣旨の発言があった。⚫ 日本銀行には、政府との緊密な連携のもと、2% の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けた適切な金融政策運営を期待する。⚫ ご提案については本会合で適切にご判断いただきたいが、政策金利の変更については、市場等に丁寧に政策趣旨を説明し、今回の変更が経済・物価に与える影響等を丁寧に点検していただきたい。国債買入れについては、市場動向を注視し、必要に応じて機動的な対応をお願いしたい。Ⅵ .採決1 .金融市場調節方針以上の議論を踏まえ、議長から、委員の多数意見を取りまとめるかたちで、金融市場調節方針について、以下の議案が提出され、採決に付された。採決の結果、賛成多数で決定された。金融市場調節方針に関する議案(議長案) 次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとすること。記無担保コールレート(オーバーナイト物)を、1.0%程度で推移するよう促す。
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採決の結果賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、田村委員、小枝委員、増委員 21 反対:浅田委員欠席:植田委員── 浅田委員は、中東情勢の影響について、物価の上振れリスクよりも生産・雇用の下振れリスクの方が大きく、金融市場調節方針を据え置くことが望ましいとして反対した。2 .補完当座預金制度の適用利率の変更等議長から、委員の多数意見を取りまとめるかたちで、補完当座預金制度の適用利率の変更等について、以下の議案が提出され、採決に付された。採決の結果、賛成多数で決定され、「補完当座預金制度基本要領」の一部改正については、会合終了後、速やかに公表することとされた。補完当座預金制度の適用利率の変更等に関する議案(議長案) 補完当座預金制度の適用利率を下記のとおりとし、「補完当座預金制度基本要領」を一部改正すること。記補完当座預金制度の適用利率年1.0% 採決の結果賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、田村委員、小枝委員、増委員反対:浅田委員欠席:植田委員── 浅田委員は、金融市場調節方針と同様の理由で反対した。3 .基準割引率および基準貸付利率の変更議長から、委員の多数意見を取りまとめるかたちで、基準割引率および基準貸付利率の変更について、以下の議案が提出され、採決に付された。採決の結果、賛成多数で決定された。 22
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基準割引率および基準貸付利率の変更に関する議案(議長案) 日本銀行法第33条第1項第1号の手形の割引に係る基準となるべき割引率(以下「基準割引率」という。)および同項第2号の貸付けに係る基準となるべき貸付利率(以下「基準貸付利率」という。)を、下記のとおりとすること。記基準割引率および基準貸付利率年1.25% 採決の結果賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、田村委員、小枝委員、増委員反対:浅田委員欠席:植田委員── 浅田委員は、金融市場調節方針と同様の理由で反対した。4 .長期国債の買入れ計画議長から、委員の多数意見を取りまとめるかたちで、長期国債の買入れ計画を別紙 2のとおりの内容とする旨の議案が提出された。これに対して、田村委員からは、長期金利の形成は市場と市場参加者に委ねるべきであるとして、2028年1 ~ 3月まで月間の買入れ予定額を原則として毎四半期2,000 億円程度ずつ減額することを内容とする議案が提出された。議長から提出された議案および田村委員から提出された議案が、田村委員案、議長案の順に採決に付された。長期国債の買入れ計画に関する田村委員案は、採決の結果、反対多数で否決された。採決の結果賛成:田村委員反対:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、小枝委員、増委員、浅田委員欠席:植田委員 23
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長期国債の買入れ計画に関する議長案は、採決の結果、賛成多数で決定された。採決の結果賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、小枝委員、増委員、浅田委員反対:田村委員欠席:植田委員5 .対外公表文(「金融市場調節方針の変更について」、「長期国債の買入れ計画について」)以上の議論を踏まえ、二つの対外公表文が検討された。このうち、金融市場調節方針の変更に関する対外公表文における物価見通しの記述について、高田委員からは、基調的な物価上昇率を含め、消費者物価は既に概ね「物価安定の目標」に達する水準にあるとして、田村委員からは、基調的な物価上昇率は「物価安定の目標」と既に概ね整合的な水準で推移しているとして、反対するとの意見が表明された。こうした検討を経て、議長からは、高田委員と田村委員が一部記述について反対する旨を脚注に記載した金融市場調節方針の変更に関する対外公表文(「金融市場調節方針の変更について」<別紙 1 >)および長期国債の買入れに関する対外公表文(「長期国債の買入れ計画について」<別紙 2 >)が提案され、採決に付された。採決の結果、何れも全員一致で決定され、会合終了後、直ちに公表することとされた。Ⅶ .議事要旨の承認議事要旨(2026年4月27、28日開催分)が全員一致で承認され、6月19日に公表することとされた。以上 24
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2026年6月16日日本銀行金融市場調節方針の変更について1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成7反対1)(注)。無担保コールレート(オーバーナイト物)を、1.0%程度で推移するよう促す1。2.上記の金融市場調節方針の変更に伴い、以下のとおり、各種制度の適用利率の変更を決定した2(賛成7反対1)(注)。(1)補完当座預金制度の適用利率補完当座預金制度の適用利率(日本銀行当座預金<所要準備額相当部分を除く>への付利金利)については、1.0%とする3。(2)基準貸付利率4補完貸付制度については、その適用金利である基準貸付利率を1. 25%とする。3.わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している(別紙)。すなわち、原油価格上昇は景気の下押し要因となっているものの、高水準の企業収益や雇用・所得環境の改善などが、経済を下支えする方向に作用している。この間、政府によるエネルギー負担緩和策をはじめとする各種施策の効果が今後も見込まれることに加え、中東依存度の高い原材料の代替調達が進展していることなどから、経済が大きく下振れるリスクは一頃よりも低下していると考えられる。
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こうしたもとで、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続けるという中心的な見通しに概ね沿って推移している。
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1 新たな金融市場調節方針は、翌営業日(6月17日)から適用する。2 補完当座預金制度の適用利率および基準貸付利率は、翌営業日(6月17日)から適用する。3 被災地金融機関支援オペ、気候変動対応オペの貸付利率は、引き続き、補完当座預金制度の適用利率となる。4日本銀行法第15 条第1項第2号に規定する「基準となるべき貸付利率」。なお、同第1号の「基準となるべき割引率」も1.25%とする(手形割引の取り扱いは現在停止中)。別紙1 25
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物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、足もとで2%を下回る水準となっているものの、原油価格上昇を起点に企業間取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んでおり、これが、今後、消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性がある。こうしたなか、中長期の予想物価上昇率が引き続き上昇していることも踏まえると、消費者物価の基調的な上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクがある。わが国の金融環境は、緩和した状態にある。実質金利は短中期ゾーンを中心にマイナスとなっている。企業等の資金需要は増加しており、CP・社債市場でも良好な発行環境が続いている。こうした経済・物価・金融情勢を踏まえ、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断した。政策金利の変更後も、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている。4.今後の金融政策運営については、基調的な物価上昇率が2%に近づいているなか、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。
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そのうえで、調整のタイミングやペースについては、中東情勢の展開がわが国経済・物価に及ぼす影響を注視したうえで、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら、検討していく方針である。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、適切に金融政策を運営していく。以上
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(注)賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、田村委員、小枝委員、増委員。反対:浅田委員。欠席:植田委員。浅田委員は、中東情勢の影響について、物価の上振れリスクよりも生産・雇用の下振れリスクの方が大きく、金融市場調節方針を据え置くことが望ましいとして反対した。 26 (別紙)経済・物価の現状と見通し
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1.わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。海外経済は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。輸出や鉱工業生産は、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。企業収益は、グローバルなAI関連需要の堅調な増加を背景に、高水準で推移している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。個人消費は、家計マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。一方、住宅投資は減少傾向にある。公共投資は横ばい圏内の動きを続けている。この間、労働需給は、引き締まった状態が続いている。わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響もあって2%を上回って推移してきたが、足もとでは、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、1%台半ばとなっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。2.先行きのわが国経済を展望すると、中東情勢の影響を受けた原油価格上昇が、交易条件の悪化などを通じて企業収益や家計の実質所得に対する下押し要因となることから、成長ペースは減速すると考えられる。
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もっとも、企業部門で高水準の収益が続いてきたことなどに加え、政府による各種施策や緩和的な金融環境などが経済を下支えするため、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続けるとみられる。その後は、原油高のマイナスの影響が減衰し、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まっていくことから、わが国経済は成長率を緩やかに高めていくと考えられる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きが続くもとで、原油価格上昇が、エネルギー価格や財価格を中心に押し上げ方向に作用することから、2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を高めていくと予想される。その後は、原油高の影響が減衰していくもとで、2%程度に向けてプラス幅を縮小していくと予想される。この間、人手不足感の強い状況が続くなかで、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくと見込まれる。こうしたもとで、消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まっていくと予想され、2026年度後半から2027年度にかけて「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となり、その後も同程度で推移すると考えられる(注)。
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27 3.リスク要因としては様々なものがあるが、当面は、今後の中東情勢の展開が、金融・為替市場やわが国の経済・物価に及ぼす影響をとくに注視する必要がある。このほか、グローバルなAI関連需要の動向や今後の為替相場の変動が、わが国の経済・物価に及ぼす影響にも留意が必要である。以上 (注)物価の見通しについて、高田委員は、基調的な物価上昇率を含め、消費者物価は既に概ね「物価安定の目標」に達する水準にあるとして、田村委員は、基調的な物価上昇率は「物価安定の目標」と既に概ね整合的な水準で推移しているとして、反対した。 28
§70
2026年6月16日日本銀行長期国債の買入れ計画について日本銀行は、本日開催された政策委員会・金融政策決定会合において、国債市場の動向や機能度を点検したうえで、今後の国債買入れのあり方について検討した。長期金利は金融市場において形成されることが基本であり、日本銀行による長期国債の買入れは、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で行っていくことが適切である。こうした考え方のもと、市場機能の改善や市場の安定確保といった観点から、長期国債の買入れについて、以下のとおり運営することを決定した(賛成7反対1 )(注)。1.月間の長期国債の買入れ予定額を、2027年1~3月までは原則として毎四半期2,000 億円程度ずつ減額し、2027年4月以降は月間2兆円程度の買入れを行う(詳細は、別紙)。2.長期金利が急激に上昇する場合には、毎月の買入れ予定額にかかわらず、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。3.今後、長期国債の買入れ計画の中間評価は実施しないが、国債買入れの基本的な考え方や国債市場の動向等を踏まえ、必要な場合には、金融政策決定会合において、買入れのペースを見直すこともありうる。以上
§71
(注)賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、小枝委員、増委員、浅田委員。反対:田村委員。欠席:植田委員。田村委員は、長期金利の形成は市場と市場参加者に委ねるべきであるとして、2028年1~3月まで月間の買入れ予定額を原則として毎四半期2,000 億円程度ずつ減額する議案を提出し、反対多数で否決された。別紙2 29 (別紙) 月間の長期国債の買入れ予定額 月間の長期国債の買入れ予定額2026年4~6月2.7 兆円程度2026年7~9月2.5 兆円程度2026年10~12月2.3 兆円程度2027年1~3月2.1 兆円程度2027年4月以降 2兆円程度(注)残存期間別等の1回当たりのオファー金額や日程等の予定については、従来同様、「長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定」で公表する。 (参考)日本銀行の国債保有残高の見通し 国債保有残高2024年6月末比(減額前比の減少率)2027年3月末 480 兆円程度 ▲17%程度2028年3月末 430~440 兆円程度 ▲24~25%程度2029年3月末 390~400 兆円程度 ▲31~32%程度2030年3月末 350~370 兆円程度 ▲36~39%程度(注1)仮に月間2兆円程度の買入れを維持した場合の試算値。額面ベース。(注2)残存期間別等の買入れ額の構成比率については、現状と概ね同程度になると仮定。