← Back
Bank of JapanPress conferenceSep 2, 2026Hajime Takata, Board Member

高田審議委員記者会見(2026年9月2日)

Original in Japanese

Full text

§1Question

二点伺います。本日の懇談会ではどんな質問があって、どんな返答をされたのか具体的なやり取りをまず伺えますでしょうか。

§2Hajime Takata

どうもありがとうございます。今日の金融[ 経済]懇談会なんですけれども、北海道の経済界、それから金融界を代表する方々から、こちらの地域のですね、経済の直面する課題でありますとか、日本銀行の政策運営に関するご意見を頂いた次第であります。非常に有益かつ示唆に富む意見交換ができ、懇談会に出席された方に、本当に改めて感謝申し上げたいと思っております。このご意見を紹介することはなかなか全部できないんですけれども、いくつか聞かれた話を整理して申し上げますと、まず足元の北海道の景気については、当初は中東情勢ですとか、それに対するサプライチェーンですとか、結構懸念があったわけなんですけれども、その懸念は、いろんな方々の特に産業界、それから官界のご尽力なんかもあってですね、だんだんとその不安は解消してきているというような意見が多くあったかな、という感じですね。一方で、やっぱりまだ、原材料価格ですとか、人件費、それから最近ですと物流費っていうんでしょうか、上昇に伴うコストアップですとか、そのコストアップ分の価格転嫁の遅れ、これがやっぱり業況を改善する妨げになっているんじゃないか、という声もやっぱり根強くあったわけですね。

§3Hajime Takata

この点については、企業の皆さまにより価格転嫁に向けた交渉のほかですね、付加価値向上に向けたいろんな取り組み、行政による各種施策ですとか、金融機関による資金繰り支援策に対応しているとの話を承ったわけです。先行きについては、こうした取り組みを継続しつつ、一層の価格転嫁を進めて、賃金上昇につなげていくことが重要だというようなお話がありました。それから、以上が課題であるとしますと、先行きに関しては、半導体、それからAI産業の進出の集積、それから宇宙関連、GX投資といった北海道における新たな成長分野に対する前向きな動き、取り組みに関する話もありまして、これは私も非常に、何ていうんでしょうか、いいことだなあというふうに思いました。また、私も昨日こちらに入ったんですけれども、そうした分野のところもちょっと訪問させて頂いて、非常に熱い、何ていうんでしょうか、取り組みへの熱意というんでしょうか、そういうものも非常に感銘を受けた次第です。一方、金融界の皆さまからは、市場金利上昇に対する対応を進めながらも、こうした動きにですね、できるだけ、前向きな動きにサポートしていきたいという話もありましたし、地元の企業に寄り沿った支援、活性化に関する取り組みをやっていきたいという声がありました。

§4Hajime Takata

また、日本銀行に対しては、物価や金利が上昇する中で、地方経済の実情に目を配ってほしいと、それからその中で適切に対応してほしいというようなご意見があったわけです。われわれとしても、今日こうしたご意見を伺いながら、中2央銀行の立場からですね、金融システムの安定を確保するとともに、物価の安定の持続的・安定的に実現するために適切なということと、それから北海道の経済のところにより目配りをしながらというんでしょうか、地域のところに目配りをしながら、サポートしていきたいというふうに改めて感じた次第であります。

§5Question

ありがとうございます。もう一点ですけれども、今のお話とやや重なりますが、北海道の現状、それから今後の展望についてですね、委員がどうご覧になっているのか、金融環境も含めてですね、お話し頂けますでしょうか。

§6Hajime Takata

われわれも、これまでも北海道の経済については、全般的に申し上げているのは、一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに持ち直している、という判断をしております。個別に考えますと、企業活動では、生産面では、自動車関連の中東向け輸出が一部で弱めにはなっているけれども、北海道の場合、ウエイトの高い食料品等が堅調に推移していると。それからそういう意味での推移している中でも、また横ばい圏というんでしょうか、対応しているということであります。設備投資に関しては、足元では、都市再開発の案件を始めとする大型の建設投資でありますとか、人手不足を補うための省力化、省人化投資などを中心に緩やかな回復になっていると。一方、個人消費でありますけれども、中東情勢の影響を受けて、物価が上昇するもとでも、比較的底堅く推移しているというふうな話もありました。ただ、一方で、高齢者、何ていうんでしょうか、なかなか賃金の上昇を享受できない方については、なかなかそこのところがやや弱い部分が残るのかなといった感じも受けました。財消費については、ですからそういう中で日常的な消費の中で、節約志向が根強くみられているという部分がありますが、一方で、家電販売なんかでは、省エネ基準の引き上げを見据えたエアコンの駆け込みなんかもありましたんで、持ち直しが出てきていると。

§7Hajime Takata

それからサービス消費においては、飲食なんかでやっぱり緩やかではありますけれども、増加が続いているほか、観光のところでは、これ重要なんですけれども、インバウンド中心に堅調になっていると。一方で、雇用・所得環境については、比較的春闘が堅調な状況が続いておりましたから、緩やかな改善になっているということかと思います。こうした中での今後の北海道経済についてでありますけれども、やや前半の先ほどのところと重複しておりますけれども、中東情勢の影響を受けた交易条件の悪化が、企業収益、それから家計の実質所得に対して下押し要因となることから、成長ペースが多少その減速する部分もあるんですけれども、ただ、私も今回の講演の中でも申し上げましたけれども、やはり輸出の増加みたいなものも含めて、結構その前向きなところが出てきていますので、交易条件の改善とかは、そう悪くはなっていないということはあろうかと思います。ただ、北海道の場合は、輸出の比率がそんなに高くはない部分がありますから、その影響がそんなに出ていない面もあろうかというふうに思います。それから幅広い物価上昇の影響からどうしても個人消費が見通しよりも弱めになっている部分がどうしてもありますので、そこは先ほど高齢者ということで申し上げましたけれども、やや注意を要するところかと思ってます。

§8Hajime Takata

また、設備投資については、今年6月の北海道の短観における今年度の設備投資計画でありますが、前年度を下回っているという部分もありまして、こちらの企業のスタンスがいくぶん慎重化している面はあるのかな3と。これは、工事の進捗がちょっとどうしても最近の工事費の値上げなんかもあって、という部分もあるのかなというふうにも、私もいろいろ話を伺って感じた次第です。ただ、これも繰り返しになりますが、長い目でみますと、こちら、当地の場合は、先端半導体の企業の進出、データセンターとそれから省エネ発電施設を始めとするGXというような進捗もありまして、やっぱり新たな産業の構築・集積につながりの動きが幅広く出てきていると。またそういったところを行政も含めて、産業界も含めて対応をしたいというような意思もありますので、北海道経済、先行きを展望しますと、こうした機会をいかに着実に対応していくのかということが重要でもあるし、またその可能性をわれわれも期待したいな、というふうに思っている次第であります。以上です。

§9Question

午前の講演で、金融政策運営につきまして、市場で考えられている一定の利上げの間隔や幅に囚われることなく、機動的に対応していく必要があるというふうに発言されました。高田委員は 7月会合でですね、0.25%の利上げを提案しておられますが、今月の会合とかでも早めに 0.5%とか、そういった利上げ幅を拡大する必要性を感じておられるのでしょうか。また、そもそもになるんですが、利上げペースを早めたり、幅を拡大したりする必要性を感じておられる、この理由についてちょっと具体的にお伺いできればと思います。もう一点なんですが、同じく午前の講演で、物価の二次的波及に備えて、事前に中立金利に近づけていく必要があるというふうに言及されたんですが、同時に中立金利はですね、特定困難ということもおっしゃられているんですけれども、中立金利までには相応の距離があるとか、利上げを継続しても暫くは緩和環境が維持されると、そういうふうに高田委員はお考えなのか、ざっくりでも構わないので、その距離感みたいなものを教えて頂ければというふうに思いますので、二点よろしくお願いします。

§10Hajime Takata

まず、私も午前中の、こちらにある講演なんですけれども、こちらの方では昨年、2024[年]、それから 25[年]のところまでは、結果的にということでもありますけれども、年2 回というペースでの対応だったということですけれども、こちらの中で今回、26年というのは、細かい点は言い出すときりなくなっちゃうんですけど、挨拶要旨(注)の方をまたご覧頂ければというふうに思いますけれども、局面が変わった、新たなレジームになったんじゃないかということは申し上げております。その新たなレジームということで申し上げた大きな背景については、24年、25年というのは世界的にも全部利下げでありました。その中で対応するというのは、日本銀行が、逆に利上げをするというのは非常に難しい局面だったと。もちろんその中でも対応してきたわけでありますけれども、ある面でいえば、なんていうんでしょうか、針の穴を通すような難しさを抱えながらの対応だったということでありますが、26年については、それが海外も含めて、実は今日もニュージーランドが利上げをしてるんですけれども、その世界的な利上げの流れになってきたというような状況の中で、世界的にもですね、そういう意味の回復感が出てきてるということかと思います。それは金融政策だけではなくて、財政のサポートというような部分も全世界的4にある。

§11Hajime Takata

更に今年の場合は、昨年の後半ぐらいのところからAIを中心とした世界的な需要ブームという、ディマンド・ショックというふうに私申し上げてるんですけれども、そういうようなものも加わっているということになりますと、26年というのは、従来の状況とは随分異なって対応する必要が出てきているのではないかと。更に今年の場合は、イラン情勢というようなものもあって、物価が上がりだしてきてるということで、しかもそれが下期に向けて、またいろんな品目の上昇というものが出てきてると。そういう海外の動向、それから国内における動向、更にそういうものに従って金融緩和的な状況の中での、いろんな意味での金融活動、貸出等の増加というようなものもあるということでありますから、そういう状況ですと、従来の半年に一度という、年に 2 回というような状況ではなくて、新たな状況に対応した機動的な対応が必要になってくると。また、単にこれまでは 0.25[%]というような状況で、24、25[年]ときましたけれども、そういうものだけではなくて、幅広い選択肢の中で、環境の変化に応じた、内外の環境変化に応じた対応をしていく必要があるのではないかと。そんな問題意識を申し上げたということなので、そういう意味で今年、特に今年の後半ぐらいからというんでしょうか、大きな変化が出てきているのではないかと。

§12Hajime Takata

それに対応して、私も 7月の段階で利上げの提案をさせて頂いているというのは、そういうものが背景にあったんだということで申し上げた次第であります。それから中立金利ということなんですが、これは昔から私も申し上げているのは、中立金利というのは、概念的には非常に重要だというふうに思ってます。ただ、この挨拶要旨(注)をご覧頂ければ、そこにも書かせて頂いてるんですけれども、そもそもこういう概念というのは、いろんな大きなシクリカルな状況があって、そういう状況の中でこの辺が中立金利であるというのを、様々な計測の中で対応してきたということなんですけれども、日本の場合は、この 30年間というか、バブル崩壊後の状況、今回はその状況というものも、挨拶要旨(注)の中で随分レビューさせて頂いているわけなんですけれども、それが全くその世界から外れた、非常にデフレ期の状況の中でものが動かないと、金利も動かないというような状況の中での試算値というものが、本当に使えるんだろうかと。

§13Hajime Takata

また一方で、アメリカを中心として、いわゆる大国の状況というんでしょうか、自分で全てが完結するような状況の国であれば、この中立金利という概念を個別の国の中で対応して、それに合わせた金利水準をどうするかということになるんですが、日本の場合はなかなかそのアメリカのような大国の前提が成り立ちにくい、海外の影響を非常に受けやすいというような状況からすると、海外が大きく動いた場合に、それだけの国内だけのところで考えた水準のところで対応できるようなものでは、なかなか分かんなくなってしまうと。しかも先ほど申し上げたように、今年っていうのは大きな変動の時期なので、従来の計量分析というようなものの中で、対応した水準というようなものから大きく外れてしまうリスクというものもあるわけなんで、日本国内の中で考えた中立金利というものを金科玉条に考えて、対応していくというような状況では、なかなかないのではないか、というような問題意識を申し上げたと。

§14Hajime Takata

ただ、今の実質金利というものが、まだ相当低いというようなことを考えていくと、ある程度その幅はあるけれども、対応した、ある程度試算し、算出された中立金利のところをもう少し近づけていく、というようなことは必要ではないかということは、最低限には思っているということでありますけれども、ただ中立金利のところというのをベースに5というようなことではなくて、またこの中立金利っていうのは、私はどちらかというと、そもそもが中立金利があってそこにというよりは、いろんなこの、今の局面は利上げってことになってますが、利上げをしながら、そしてその中で金融環境っていうんでしょうか、その緩和度合いであったりとか、それを確かめながら、ちょうどそろそろいいところに来たな、って後で逆算して中立金利というのが、後でこのぐらいだったんだなっていうのが分かるというのが、実際のところではないのかなと。ですから先見的にこのぐらいの水準といって対応していくというのは、逆にミスリードしていくリスクがあるのではないかと、そんなふうに考えているということでございます。

§15Question

ベッセントさんと植田総裁の会談が行われました。その中でベッセント氏がですね、円の過小評価に対処するため、金融政策上の措置を講じることを強く支持するなど、日銀の金融政策についてかなり言及されているわけですけれども、率直にこの発言等を含めて、会談も含めてどのように受け止めていらっしゃるのか、というのが一点と、またその今回ベッセントさんが日銀の利上げをサポートするような発言をしたことがですね、今後のその、日銀の金融政策ないし利上げに与える影響というのを、どう考えていらっしゃるのか、教えてください。

§16Hajime Takata

実は私もベッセントさんと植田総裁の会話については、メディアの方を通じたものしか実は情報がないというようなことでもありますし、また、海外との対応ということについては、なかなか私の言葉で申し上げられるものでもないので、その点についてはちょっと、言及を控えさせて頂きたいなというふうに思ってます。またそういう状況の中で、金融政策に対してということは、われわれとしてみれば、いま申し上げたようなこの、物価というんでしょうか、また持続的な経済成長に対する物価の安定というか、そういうものを重視して一義的に考えて対応していくということでありますので、あくまでもわれわれ独自に、私自身も独自の意識でもって、いろんな情報というんでしょうか、また、いろんなその環境認識をしながら対応していきたいなというふうに思っていますので、何というんでしょうか、いろんな方々のご意見というのはご意見として、一つのものとして承らせて頂く、というふうに思っている次第であります。

§17Question

足元の金融市場についてご見解をお伺いしたいんですけれども、昨日、長期金利が上昇して、3%に到達しました。高田委員、午前のご挨拶で、現在国債は過去と比較しても有数の大量供給局面というふうに表現されてらっしゃったかと思うんですけれども、足元のこの市場の状況、日銀さんは例外的な状況で機動的に買入れ増額を実施するともされていらっしゃいますが、今の市場はこういう例外的な状況に当たるのかどうか、という点と、金利上昇に対する見方をお伺いできますでしょうか。

§18Hajime Takata

非常にね、今話題になっている点かなというふうには思います。ただ、われわれその中央銀行の立場としますと、長期金利の一定の水準のところをどうとかというよ6うなことに対しては、コメントはしていかないというふうには思っています。そのうえで、足元の長期金利の上昇というか、それを私なりに解釈致しますと、今回の状況というのは先ほどのところの議論とも重なるんですけども、やはり世界的にもですね、昨年はなにしろ利下げ、2024、 25[年]っていうのは利下げの局面でありましたが、2026[年]っていうのはもう利上げのところになっている。また、今回のこちらの講演の中でも、同じように議論をさせて頂いているんですけども、財政についても世界的にも財政のサポートを、というような動きになってきている。それに加えて、AIという投資ブームというんでしょうか、そうしたようなものが出てきていますので、そういう観点からすると、長期の金利っていうものも、更に、先ほどからの繰り返しになりますけども、イラン情勢というものに対しての物価の上昇というものも出てきているということがあるとしますと、長期の金利というところが、ある程度世界的に上がりやすい、もちろん日本も上がって、一つの区切りのところを超えたということで話題にはなっておりますけども、世界的な上昇の中にあるというような認識を私は多く感じております。

§19Hajime Takata

その中で、日本のところもその一環になっているというような意識の方が、私は強いのではないかというふうに思います。今回、この講演の中で、供給の部分のところで事実上の供給のところが多くなっているということは申し上げました。これは、そういう状況の中で日本銀行の方も購入のところの額を減らしているという部分がありましたので、そういう中での供給が増えてるというようなことではありますけども、ただ一方で、先ほどから申し上げておりますように、市場機能もある程度回復をだんだんしてきているというのが長期の今の債券市場の状況でもあります。そうなってまいりますと、この例外的な状況というようなことに今すぐ当たるというものでもないとは思いますけれども、ただ、これだけいろんな変化も出てきている状況でもありますから、この辺につきましては、非常によくモニターをしながら、環境というものをフォローしていきたいなというふうに思っている次第であります。(中山支店長)一点補足させて頂きます。札幌支店長の中山です。今の高田委員がお話しした最初の金利上昇のところの見方というのは、そういう見方が市場で出ている、そういう声が多いというところの委員の認識、これをお伝えしたということだということを付言させて頂きます。

§20Question

二点ありまして、先ほど、利上げ幅について市場をみるような 0.25%だけではなくて、幅広い選択肢ということでおっしゃいましたけれども、高田委員は 7月会合では 0.25[%]の利上げを提案されていまして、0.25[%]を選ばれた理由を改めてお聞かせ頂きたいのと、その後 7月会合からこの現時点までのですね、この経済・物価・金融情勢の変化っていうのをどういうふうに見ていらっしゃいますでしょうかというのが一つ目で、二つ目は金融政策の運営の局面が変わったということで、例えば今後 3 か月毎に利上げをした場合には、ある程度連続して 3 か月おきに利上げを何回か続けて行う必要があると考えていらっしゃいますでしょうか。この二点をお願い致します。

§21Hajime Takata

77月の段階で私は1%から1.25[%]へ、ということで申し上げてたわけなのでありますけれども、7月の段階というところであるとしますと、0.25[%]というんでしょうか、そのぐらいの幅が私はちょうどいいかなというふうに思ったということでございます。もちろん、その幅のところにこだわるということではないんだというふうには申し上げましたけれど、これは一般論の話でありますから、これからの局面ということ、先ほどから申し上げておりますように、局面が変わってきたと、そういう中で、内外の環境が変わり得るというような、先を展望した場合には、必ずしもこれまで、24年、25年のときに、結果としてみれば0.25[%]を年2回行ったわけでありますけれども、それが必ず決まってるんだというようなものではないというような、この一般論として申し上げたということでございまして、必ずしもじゃあそれが 0.5[%]なのか 0.75[%]なのかというようなことを、今の段階で申し上げられるようなものではない。

§22Hajime Takata

ただし、先ほどから繰り返しになりますけれども、環境が変わってきた、それまでの24年、25年までの状況とは違うんだということ、それが内外の環境ともに違ってるんだということを踏まえた場合には、それまでのレジームというものを変えていく、また、こちらの中でも申し上げておりますように、これまではある程度基調的な物価をあえて上げていくんだというようなことだったわけでありますが、そういうような状況も変わり得るというような状況からしますと、もう少し違ったこれまでの考え方というようなものが必要なんだということで申し上げたわけです。それが二番目にご指摘頂いたご質問とも関連するんだろうと思うんですけれども、その局面が変わったというような状況の中で、じゃあ連続してなのかどうか、3 か月かどうかなのかという、そもそも半年だとか年2 回だとかいうような間隔自体ということ自体の発想が、やっぱり従来の発想ということになるわけですから、別にそれが結果として局面が変わるんであれば、結果として連続になるというようなことももしかしたら一般論としてはあり得るのかもしれないし、そこは毎回毎回の局面、局面といいましょうか、状況の中で判断していくことなんではないかと、それが私が申し上げたい点だったということであります。

§23Question

二点伺わせてください。一点目がですね、為替市場への言及っていうのが講演の中であったかと思うんですけれども、具体的にいうと物価上振れを防ぐ日銀の意思を市場に示し、為替市場を通じた影響にも配慮する必要が生じると考えていますっていうふうにおっしゃったと思うんですけど、ここは為替市場に対して、どういうメッセージを出すっていうのが重要だとお考えなんでしょう。もう少しここの真意を具体的に伺えますでしょうか。あと、もう一点目が高田委員、来年7月で任期が終わられると思うんですけど、残り 1年弱っていうところに迫ってきていると思います。改めて講演の内容をみると物価の安定というところに非常に重きを置いてらっしゃるように映るんですけれども、残り 1年間のご自身の役目とかですね。こういった運営の発信をしていきたい、若干そのレジームが変わったというところと関係するかもしれないんですけど、改めて伺わせてください。8

§24Hajime Takata

為替市場に関してはわれわれも長らく申し上げているんですけれども、特定の水準であるとか、それを直接的に操作するとか、そういうような意識は全くないということであります。ただし、為替に関しては、いろんな物価でありますとか、それから先行きの物価観というんでしょうか、それに重要な、非常に大きな影響を与え得るというようなことでもありますので、そういう意味ではわれわれも今の局面の中で重視している。特に、先ほどから繰り返しにはなりますけれども、海外の環境がまあ昨年、2024、25[年]といったところまでは、ずっと世界的に利下げというような状況でありましたけれども、それが今年は利上げという方向に変わってきているというような状況でもあります。そういう状況の中でいえば、どうしてもその影響というようなものが、他の状況が一定であるとすれば、為替のところでいうと、やや円安の方向に働きやすくなってくるというような、それが物価のところに影響を与えてくるというような影響、道筋といいましょうか、があるわけでありますから、そうしたようなことが起こり得ることも前提としながら考えていく必要があるのではないか、という点を申し上げたということであります。ですから、直接的なものではございませんけれども、そういうその重要なルートとして考えてきたというところであります。

§25Hajime Takata

それから、二番目にご指摘ありました、考えてみるとあともう 1年以内ということになったわけなんでありますけれども、その中での対応というのは、これはもう毎回毎回というか、その局面において一番のベストというんでしょうか、いろんな情報を集めながら、何ていうんでしょうか、一番適切な判断をしていくということに尽きるのかなというふうに思います。しかも、先ほどから申し上げたような、今回レジームも変わるような大きな転機、内外ともにというような局面でもありますから、そういう中では非常に難しい状況でもありますから、そういう中でより適切なものにできるように、いろんなお話もいろんなところをお伺いしながら、また情報を得ながら考えていきたいなと。それを残りのところで考えていきたい。そんなふうに思っている次第です。

§26Question

二点お伺いします。一点目が高田委員、前回の会見でおっしゃったこととの文言の違いについてなんですけれども、利上げのペースについて 2月の会見の際には、段階的にギアシフトという表現を使ってらっしゃいましたが、今回、機動的という表現でした。また、中立金利についても、市場の見込みから上振れる可能性に新たに言及されたと思います。こうしたことからですね、より利上げの必要性についてのトーンが強くなったのではないかというふうに考えたんですけども、そういった認識でよろしいでしょうか。そうであれば、意図も併せてお伺いできたらと思います。二点目がですね、9月会合の利上げについて市場が既に大部分を織り込んできているという状況ですけれども、こういった状況の中で、仮に政策金利を据え置くということがあれば、どのような状況が起こり得るかと、お考えをお聞かせ頂ければと思います。

§27Hajime Takata

9前回とのっていうことで、よくお調べ頂いたということだと思うんですけれども、確かに、前回の会見のときには段階的なギアシフトということで申し上げました。実はその言い方は、あの 2024、25[年]、ずっと私一貫して続けてきた言い方でもございます。それは、先ほどからのところで申し上げれば、変わったというところがなぜなのかということで言えば、一つは海外の環境が変わってきてると。それまでは全部利下げでありましたけれども、これが利上げにという、その大きな節目が今年の前半から半ばにかけて生じているということ、まさにその時期が当たってるということですね。それから、もう一つ申し上げれば、イラン戦争、中東紛争以降の物価の上昇というようなものが変わりつつある環境にある。それから、もう一つは、AIを中心とした世界的なブームというようなものに対する確実性といいましょうか、実感というようなものがより強まっているというような点がありますので、前回のところ、私はちょうど 2月ということで、おっしゃったのかもしれませんけれども、そこの段階からこの半年間の中で、これだけ大きな変化というものが生じておりますので、そういう中で私の申し上げ方といったところも変えているというふうなことで、機動的にということで申し上げたということであります。

§28Hajime Takata

それから、二番目のご質問なんですけれども、これはもう市場の織り込みということだと思いますけれども、市場の織り込みというようなところの中で、市場の方がどういうふうにお考えであるのか、ということは、これはもう市場にお任せするしかない部分もありますので、われわれ、そこのところで何かどう対応するというようなことは、もちろんないということではあります。ただ、そういうふうな市場がどういうふうに今の段階で意識しておられるのかというようなことを踏まえながら、そこのところは対応するというようなことで、考えていきたいなというふうに思っている次第でございます。以上です。

§29Question

先ほど間隔について、そもそも間隔ということを考える自体が従来の発想だということで、そこから転換するということをおっしゃったと思うんですけれども、ただその 9月かなり織り込み済みという、仮に利上げをした後の 10月、その間隔としても 1 か月の間で 2 回上げるということが仮にあった場合に、一般市民が借りる側の住宅ローンですとか、様々な中小企業の借入ローンですとか、そういったところにおいてはかなり負担感の大きい市場の反応も予想されるんですけれども、これに関してはどういうふうにお考えでしょうか。

§30Hajime Takata

もちろん、いろんなところに影響が出る可能性はあるわけですね。住宅ローンもありますし、またもちろん貸出の金利ということもあるかもしれません。また一方で、預金はお預かりになる方々の預金金利というところもありますから、そういう意味ではいろんなところ、影響を見ながら、丁寧に考えていく必要があろうかというふうに思います。また一方で、そういう効果が現れるまで一定の期間というものもありますから、そういう意味でいいますと、毎回毎回対応する毎にですね、丁寧に考えていく必要があろうかとは思います。ただ、それも程度の問題ではありますから、常に状況というんでしょうか、また、タイムラグっていうことも踏まえながら、毎回毎回それを判断していくということ。ただ一方で、外部環境というんでしょうか、10海外、それから国内における経済、それから金融環境、またいろんな意味での政策的な面も含めた環境っていうんでしょうか、こうしたものも非常に大きく変わる。また一方で、それが大きく変わり得る一つのレジームが変わり得る局面にあるということも考えますと、それに応じた変化というものも必要になってきますので、その辺のところは両面のところをバランスをとりながら対応していくということに尽きるんじゃないかと思います。

§31Hajime Takata

ですから、例えば極端なことで言えば、毎日変えるってことはありませんけれども、もちろんこういう会合の中でということでありますけれども、一定の期間というものの中で、十分な議論もしくは十分なモニタリングをしながら対応していくというような、そんな状況になろうかと思ってます。(注)会見では議事要旨と発言しましたが、正しくは挨拶要旨です。以上