【挨拶】(全国証券大会)
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2026年10月6日 日本銀行 日本銀行総裁植田和男令和 8年全国証券大会における挨拶 11.はじめに本日は、令和8年全国証券大会にお招き頂き、誠にありがとうございます。本大会がこのように盛大に開催されますことを心よりお慶び申し上げます。証券業界の皆様におかれましては、わが国証券市場の健全な発展・育成を通じて、日本経済の成長に大きく貢献をしてこられました。皆様のご尽力に対し、日本銀行を代表して、心より敬意を表します。本日、私からは、はじめに経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営について、次にこの先の証券業界の皆様に期待していることについて、お話ししたいと思います。
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2.経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営まず、経済・物価情勢についてです。わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復しています。グローバルなAI関連需要の堅調な増加などを背景に、輸出は緩やかながらも増加に転じており、企業収益は高水準で推移しています。先週公表しました、私どもの短観の結果をみますと、企業の業況感も、良好な水準となっています。こうしたもとで、設備投資は、建設コスト上昇の影響を受けつつも、緩やかな増加傾向にあります。個人消費は、家計マインドになお弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移しています。物価面では、原油高や為替円安に加え、AI関連需要拡大の影響から、国内企業物価は前年比で高い伸びが続いています。生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、企業間取引における価格上昇圧力が消費者段階にも波及し始めているほか、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きも続いており、このところプラス幅が緩やかに拡大しています。こうしたなか、中長期の予想物価上昇率は引き続き上昇しており、消費者物価の基調的な上昇率は2%に近づいています。
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2このように、わが国の経済・物価は、「展望レポート」で示してきた中心的な見通しに概ね沿って推移しています。中心的な見通しに対するリスク要因としては様々なものがありますが、中東情勢やAI関連需要の拡大、為替相場の変動がわが国の経済・物価に及ぼす影響には引き続き留意が必要であり、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクがあります。この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にあります。実質金利は短中期ゾーンを中心になお低い水準となっています。企業等の資金需要は増加しており、金融機関の貸出態度も引き続き積極的です。CP・社債市場でも良好な発行環境が続いています。以上の経済・物価動向やリスク要因、金融環境を踏まえ、先月、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切と判断し、政策金利を1.25%程度に引き上げることを決定しました。足もとの実質金利の水準や企業の資金需要、金融機関の貸出態度などを踏まえると、政策金利の変更後も、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えています。
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今後の金融政策運営については、基調的な物価上昇率が2%に近づいているなか、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。そのうえで、調整のタイミングやペースについては、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら、検討していく方針です。その際には、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクが顕在化し、それがその後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、基調的な物価上昇率を2%程度の水準で安定させていくという観点が、これまでよりも重要になってきていると考えています。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持
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3続的・安定的な実現という観点から、適切に金融政策を運営してまいります。
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3.証券業界への期待次に、この先の証券業界の皆様に期待している点について、お話しします。1点目は、企業の多様な金融ニーズに応えることを通じた企業価値向上の支援です。企業がコーポレートガバナンス改革をより意識し、成長投資や事業ポートフォリオの見直し等の適切な経営資源の配分を進める中で、M&Aやノンコア事業のパートアウトといったコーポレートアクションも活発化しています。このような動きもあって、全体として、ROEは改善し、企業価値は向上しています。この点は、次に申し上げる、国民の資産形成の面でも好影響を与えています。今後も、企業の資本市場を通じた資金調達ニーズの多様化に応えていくとともに、アドバイザリー機能の一段の発揮を通じて、企業価値の向上、さらにわが国経済の成長を支えていかれることを期待しています。2点目は、国民の安定的な資産形成推進と金融リテラシー向上への支援です。新NISAが開始されて3年弱となり、若年層を含めた幅広い年齢層で利用口座数は着実に増加し、資産形成の入口として定着してきています。さらに、近く、引出し可能年齢等を見直した「こどもNISA」が開始されるほか、企業型確定拠出年金や個人型確定拠出年金で拠出額の上限が引上げられます。このように、制度面の拡充が図られていますが、国民がそのメリットを最大限に活かしていくためには、金融リテラシーの向上が不可欠です。
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また、多くの人々がSNS等を通じて投資や資産形成に関する情報を収集する中で、インターネット上の正しい情報を見極め、それぞれのリスク許容度も踏まえた適切な投資判断をしていけることの重要性が一段と高まっています。皆様には、金融経済教育推進機構との連携等による金融経済教育への支援やそれらを通じた国民の適切な資産形成の後押しを引き続き期待しています。
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43点目は、デジタル技術の進展への対応です。取引の安全面では、証券口座への不正アクセスや不正取引は、多要素認証の導入促進等、皆様のご努力が着実に効果を上げ、被害件数は大きく減少しています。もっとも、テクノロジーの進化は極めて速く、最近では、フロンティアAIによりサイバー攻撃のスピードや規模が劇的に加速・拡大する脅威が認識され、サイバーセキュリティ対策の一段の強化の必要性が高まっています。同時に、オンライン証券取引プラットフォームの普及は、家計に資産形成の機会を広げているとともに、オンチェーン化等の新たな技術活用は、企業の資金調達や投資の手段をさらに広げる可能性を秘めています。技術進展による中長期的な機会の広がりとリスク・プロファイルの変化を視野に入れて、新たなサービスやリスク管理面の対応を進めていくことが重要になります。 4.おわりに最後に、本日ご臨席の皆様の益々のご健勝と、わが国証券市場の更なる発展を祈念いたしまして、私からの挨拶とさせて頂きます。ご清聴、誠にありがとうございました。 以上