Minutes of the Monetary Policy Meeting (July 19–20, 2017)
金融政策決定会合議事要旨(7月19、20日開催分)
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2017.9.26日本銀行政策委員会金融政策決定会合議事要旨(2017年7月19、20日開催分)本議事要旨は、日本銀行法第 20 条第1項に定める「議事の概要を記載した書類」として、2017年9月20、21日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。公表時間9月26日(火) 8時50分 本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合(引用は含まれません)は、予め日本銀行政策委員会室までご相談ください。引用・転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。
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(開催要領)1.開催日時:2017年7月19日(14:00~15:32)7月20日( 9:00~12:03)2.場所:日本銀行本店3.出席委員:議長黒田東彦(総裁)岩田規久男(副総裁)中曽宏(〃)佐藤健裕(審議委員)木内登英(〃)原田泰(〃)布野幸利(〃)櫻井眞(〃)政井貴子(〃)4.政府からの出席者:財務省可部哲生大臣官房総括審議官(19日)大塚拓財務副大臣(20日)内閣府前川守内閣府審議官(19日)越智隆雄内閣府副大臣(20日)(執行部からの報告者)理事雨宮正佳理事桑原茂裕理事前田栄治企画局長加藤毅企画局政策企画課長奥野聡雄金融市場局長清水誠一調査統計局長関根敏隆調査統計局経済調査課長一上響国際局長中田勝紀(事務局)政策委員会室長小野澤洋二政策委員会室企画役中本浩信企画局企画役永幡崇企画局企画役吉村研太郎企画局企画役井出穣治
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Ⅰ.金融経済情勢等に関する執行部からの報告の概要1.最近の金融市場調節の運営実績金融市場調節は、前回会合(6月15、16日)で決定された短期政策金利(-0.1%)および長期金利操作目標(注)に従って、長期国債の買入れ等による資金供給を行った。そのもとで、10年物国債金利はゼロ%程度で推移し、日本国債のイールドカーブは金融市場調節方針と整合的な形状となっている。この間、国債買入れについて、7月7日に、長期ゾーンを対象として固定利回り方式のオペ(指値オペ)を実施した。2.金融・為替市場動向短期金融市場では、金利は、翌日物、ターム物とも、総じてマイナス圏で推移している。無担保コールレート(オーバーナイト物)は- 0.06~- 0.04%程度で推移している。ターム物金利をみると、短国レート(3か月物)は、-0.1%程度で推移している。株価(日経平均株価)は、為替が円安方向の動きとなる中、2万円前後の水準で推移した。為替相場をみると、円の対ドル相場は、日米金利差の拡大を受けて、円安・ドル高方向の動きとなった。この間、円の対ユーロ相場は、ECBによる金融緩和縮小を巡る思惑等から、円安・ユーロ高方向の動きとなった。3.海外金融経済情勢海外経済は、総じてみれば緩やかな成長が続いている。米国経済は、雇用・所得環境の着実な改善を背景として、家計支出を中心に、しっかりとした回復を続けている。
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輸出は基調として持ち直しているほか、設備投資でも持ち直しの動きが続いている。物価面をみると、インフレ率(PCEデフレーター)は、総合ベース、コアベースともに前年比+1%台半ばで推移している。欧州経済は、家計部門を中心に緩やかながら着実な回復を続けている。輸出は、持ち直しの動きが続いている。個人消費は、労働市場や消費者コンフィデンスの改善などに支えられて増加しているほか、設備投資も回復している。物価面をみると、インフレ率(HICP)は、コアベースでは前年比+1%台前半、総合ベースでは同+1%台半ば
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(注)「10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。」
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で推移している。この間、英国経済は、足もとの物価上昇が個人消費の重石となっているが、総じてみれば回復が続いている。新興国経済をみると、中国経済は、当局による景気下支え策の効果もあって、総じて安定した成長を続けている。NIEs・ASEANでは、輸出の持ち直しが続くもとで、企業・家計のマインドは改善しており、内需は底堅く推移している。ロシアやブラジルの景気は、資源価格の底打ちや既往の金融緩和などから持ち直している。インドでは、高額紙幣の廃止による経済の混乱が一服し、景気は回復に向かっている。新興国の物価面をみると、インフレ率は、多くの国・地域において横ばい圏内で推移している。海外の金融市場をみると、米欧の長期金利は、ECBによる金融緩和縮小を巡る思惑等から上昇した。この間、堅調な経済指標や企業決算などを背景に、多くの国で株価は高値圏で推移しているほか、新興国への資金流入も続いている。4.国内金融経済情勢(1)実体経済わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。輸出は、新興国経済の持ち直しを背景に、増加基調にある。先進国向けは、増加基調を続けているほか、新興国向けも、アジア向けの電子部品や資本財を中心に持ち直している。
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先行きの輸出は、資本財や情報関連が堅調に推移すると見込まれることから、当面、増加基調を続ける可能性が高く、その後も、海外経済の成長が続くもとで、基調としては緩やかな増加を続けるとみられる。公共投資は、増加に転じつつある。先行きについては、経済対策の効果が徐々に本格化するもとで、当面、増加していくとみられる。その後は、経済対策の押し上げ効果の減衰に伴い減少に転じたあと、オリンピック関連工事が下支えとなり、高水準で横ばい圏内の動きが続くとみられる。設備投資は、企業収益が改善する中で、緩やかな増加基調にある。6月短観をみると、2017年度の設備投資計画は大企業を中心に堅調なスタンスとなっており、こうした企業の前向きな姿勢を反映して、先行指標である機械受注や建築着工・工事費予定額(民間非居住用)は、月々の振れは大きいものの、増加基調を維持している。先行きの設備投資は、企業収益の改善や緩和的な金融環境、成長期待の高まり
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などを背景に、当面、緩やかな増加を続けていくとみられる。その後は、資本ストックの積み上がりが明確となることなどから、減速圧力が強まっていくと考えられる。雇用・所得環境をみると、労働需給は着実な引き締まりを続けており、雇用者所得も緩やかに増加している。有効求人倍率は着実な改善傾向を辿っているほか、失業率も緩やかな低下傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、底堅さを増している。各種の販売・供給統計を合成した消費活動指数をみると、1~3月は前期比でみて4四半期連続で増加したあと、4~5月も1~3月対比で伸びを高めながら増加を続けている。先行きの個人消費は、雇用者所得の増加と株価上昇による資産効果に加え、耐久財の買い替え需要にも支えられて、緩やかな増加傾向を辿るとみられる。住宅投資は、横ばい圏内の動きとなっている。鉱工業生産は、内外需要の増加を背景に、増加基調にある。先行きについては、内外需要の増加を反映して、当面はしっかりとした増加を続け、その後も、新興国経済の回復や経済対策の効果の顕在化などを背景に、基調としては、緩やかな増加を続けるとみられる。物価面について、国内企業物価を3か月前比でみると、国際商品市況や為替相場の動きを反映して、上昇ペースが鈍化している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台前半となっている。
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除く生鮮食品・エネルギーでみた前年比は、0%程度で推移している。先行きについて、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくとみられる。(2)金融環境わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。予想物価上昇率は、弱含みの局面が続いている。長期金利から中長期の予想物価上昇率を差し引いた実質長期金利は、マイナスで推移している。企業の資金調達コストは、きわめて低い水準で推移している。資金供給面では、企業からみた金融機関の貸出態度は、大幅に緩和した状態にある。CP・社債市場では、良好な発行環境が続いている。資金需要面をみると、企業買収関連や設備投資向けなどの資金需要が増加している。以上のような環境のもとで、企業の資金調達動向をみると、
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銀行貸出残高の前年比はプラス幅が緩やかに拡大しており、3%台前半のプラスとなっている。CP・社債の発行残高の前年比プラス幅も、このところ拡大している。企業の資金繰りは、良好である。この間、マネタリーベースは、前年比で2割程度の高い伸びを続けている。マネーストックの前年比は、4%程度の伸びとなっている。Ⅱ.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要1.経済情勢国際金融市場について、委員は、6月下旬以降、ECBやBOEによる金融緩和縮小を巡る思惑等から、米欧の長期金利は上昇したとの認識を共有した。また、委員は、長期金利が上昇する中にあっても、堅調な経済指標や企業決算などを背景に多くの国で株価は高値圏で推移しているほか、新興国への資金流入も続いており、投資家のリスクテイク姿勢は総じて維持されているとの見方を共有した。今後の国際金融市場の動向について、何人かの委員は、米欧における金融政策の動向等が、各国の債券市場や株式市場、さらには国際的な資本フローに及ぼす影響に特に留意する必要があると述べた。海外経済について、委員は、世界的な貿易活動と製造業部門の回復が続くもとで、先進国は着実な回復を続けているほか、新興国も全体として持ち直しているとの見方で一致した。そのうえで、委員は、海外経済は、総じてみれば緩やかな成長が続いているとの認識を共有した。
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海外経済の先行きについて、委員は、先進国の着実な成長に加え、その好影響の波及や各国の政策効果によって、新興国経済の回復もしっかりとしたものになっていくことから、緩やかに成長率を高めていくとの見方で一致した。地域毎にみると、米国経済について、委員は、4~6月の雇用者数が堅調に増加するなど、雇用・所得環境が着実に改善する中、家計支出を中心に、しっかりとした回復を続けているとの認識で一致した。ある委員は、昨年12月以降、FRBが政策金利の引き上げを続ける中にあっても、これまでのところ、景況感に顕著な変化はみられていないと述べた。米国経済の先行きについて、委員は、国内民間需要を中心にしっかりとした成長が続くとの見方を共有した。もっとも、何人かの委員は、4~6月の自動車販売台数が2四半期連続で減少したことなどを指摘したうえで、先行きの個人消費の動向に留意する必要があると述べた。
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欧州経済について、委員は、家計部門を中心に緩やかながら着実な回復を続けているとの認識を共有した。一人の委員は、実体経済の回復に加え、銀行セクターの不良債権問題への対応の進展や政治リスクの後退などもあって、消費者コンフィデンスをはじめとする各種のマインド指標は改善傾向を続けていると指摘した。先行きについて、委員は、英国のEU離脱交渉の展開をはじめとする政治情勢や金融セクターを含む債務問題を巡る不透明感が経済活動の重石となるものの、基調としては緩やかな回復経路を辿るとの見方で一致した。新興国経済について、委員は、全体として持ち直しているとの認識を共有した。このうち中国経済について、大方の委員は、輸出がはっきりと持ち直しているほか、固定資産投資が公共投資を中心に増加し、個人消費も底堅く推移するなど、総じて安定した成長を続けているとの見方を共有した。ある委員は、6月の製造業PMIや小売売上高、4~6月のGDP成長率が堅調な数字となったことは世界経済にとって当面の安心材料であると付け加えた。NIEs・ASEANについて、委員は、輸出が基調として持ち直すもとで、企業・家計のマインド改善や景気刺激策の効果などから、内需は底堅く推移しているとの見方で一致した。先行きの新興国経済について、委員は、先進国の着実な成長の波及や景気刺激策の効果などから、成長率は徐々に高まっていくとの見方で一致した。
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このうち中国経済について、委員は、当局が財政・金融政策を機動的に運営するもとで、概ね安定した成長経路を辿るとの見方を共有した。わが国の金融環境について、委員は、きわめて緩和した状態にあるとの認識で一致した。委員は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、企業の資金調達コストはきわめて低い水準で推移しているとの見方を共有した。そのうえで、ある委員は、こうした緩和的な金融環境が、引き続き、わが国の企業活動を強力にサポートしていると付け加えた。以上のような海外の金融経済情勢とわが国の金融環境を踏まえて、わが国の経済情勢に関する議論が行われた。わが国の景気について、委員は、海外経済の成長などを背景に企業収益が改善する中、設備投資計画は総じてしっかりしてきているとの見方を共有した。また、委員は、雇用・所得環境が着実に改善し、個人消費も底堅さを増しているとの認識を共有した。そのうえで、委員は、最近の労働需給の引き締まりや生産増を反映した設備稼働率の上昇を踏まえれば、需給ギャップのプラス基調が定着してきているとの見方で一致した。こうした議論を経て、委員は、景気の現状判断を、
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これまでの「緩やかな拡大に転じつつある」から、「所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している」へと一歩進めることで一致した。一人の委員は、わが国経済は、外需依存の回復から内需の改善を伴うより自律的な拡大に移行しつつあるほか、都市部から地方へと、景気改善の裾野の拡がりも明確になってきていると指摘した。輸出について、委員は、新興国経済の持ち直しを背景に、増加基調にあるとの認識を共有した。先行きの輸出について、委員は、グローバルな製造業の生産・貿易活動が良好な水準を維持するもとで、当面は増加基調を続け、その後も、情報関連の反動などによる振れを伴いつつも、海外経済の成長を背景に緩やかな増加を続けるとの見方で一致した。公共投資について、複数の委員は、4月の公共工事出来高が大幅に増加するなど、2016年度第2次補正予算の発注が顕在化しつつあると指摘した。そのうえで、委員は、公共投資の現状判断について、これまでの「横ばい圏内の動きとなっている」から、「増加に転じつつある」へと進めることが適当であるとの認識で一致した。設備投資について、委員は、緩やかな増加基調にあるとの認識を共有した。
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何人かの委員は、企業の売上高経常利益率(全産業全規模ベース)が、昨年10~12月、本年1~3月と2四半期連続で過去最高水準を更新していることや、6月短観において、全産業全規模ベースの業況判断が4四半期連続で改善したことなどを指摘した。そのうえで、これらの委員は、企業収益や業況感が業種の拡がりを伴いつつ改善していることが、設備投資の増加を後押ししていると述べた。先行きの設備投資について、委員は、緩和的な金融環境や成長期待の高まりなどを背景に、緩やかな増加を続けていくとの見方で一致した。雇用・所得環境について、委員は、労働需給は着実な引き締まりを続けており、雇用者所得も緩やかに増加しているとの認識を共有した。この点に関し、何人かの委員は、労働需給の状況に感応的なパート労働者の賃金は明確に改善していると指摘した。先行きの雇用者所得について、委員は、労働需給の着実な引き締まりが続き、企業収益も改善するもとで、緩やかな増加を続けるとの見方を共有した。ある委員は、パート労働者に後れをとっていた正社員の有効求人倍率が足もと1倍に近づいてきたことは、雇用・所得環境の一段の改善を期待させると述べた。個人消費について、委員は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、
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底堅さを増しているとの認識を共有した。複数の委員は、消費活動指数が、昨年4~6月以降、4四半期連続で増加したあと、足もとではさらに伸びを高めるなど、このところ個人消費にやや勢いがついてきていると述べた。先行きの個人消費について、委員は、雇用者所得の増加と株価上昇による資産効果に加え、耐久財の買い替え需要にも支えられて、緩やかな増加傾向を辿るとの見方を共有した。住宅投資について、委員は、横ばい圏内の動きとなっているとの認識を共有した。鉱工業生産について、委員は、内外需要の増加を背景に、増加基調にあるとの認識を共有した。先行きの鉱工業生産について、委員は、内外需要の増加を反映して、当面はしっかりとした増加を続け、その後も、基調としては、新興国経済の成長力の高まりなどを背景に、緩やかな増加を続けるとの見方で一致した。物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は0%台前半となっているほか、消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比については、年度初の価格引き上げの動きが限定的であることなどから、0%程度で推移しているとの見方で一致した。この点について、多くの委員は、わが国の景気が緩やかに拡大するもとで、労働需給が着実に引き締まっていることと比べれば、物価は弱めの動きとなっているとの見方を示した。
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この間、委員は、予想物価上昇率について、弱含みの局面が続いているとの認識を共有した。もっとも、何人かの委員は、このところ、企業や家計を対象とした一部のアンケート調査などにおいて、予想物価上昇率の上昇を示す指標もみられていると指摘した。2.経済・物価情勢の展望2017年7月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)の作成にあたり、委員は、経済情勢の先行きの中心的な見通しについて、緩やかな拡大を続けるとの見方を共有した。2018年度までの期間について、委員は、きわめて緩和的な金融環境や政府の大型経済対策による財政支出などを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、国内需要は増加基調を辿るとの認識を共有した。また、委員は、輸出も、海外経済が緩やかに成長率を高めていくもとで、基調として緩やかな増加を続けるとの見方で一致した。2019年度について、委員は、内需の減速から成長ペースは鈍化するものの、外需に支えられて、景気拡大が続くとの認識を共有した。そのうえで、大方の委員は、わが国の経済は、2018
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年度までの期間を中心に、潜在成長率を上回る成長を続けるとの見方を示した。これらの委員は、2017年4月の展望レポートでの見通しと比べると、見通し期間の成長率は、幾分上振れるとの見方で一致した。2018年度にかけての景気について、委員は、設備投資は、緩和的な金融環境や成長期待の高まり、オリンピック関連投資の本格化、人手不足に対応した省力化投資の増加などから、緩やかな増加を続けるとの見方を共有した。また、委員は、個人消費も、雇用・所得環境の改善が続くもとで、緩やかな増加傾向を辿るほか、公共投資は、経済対策の効果などから 2017年度にかけて増加し、その後は高めの水準で推移するとの見方で一致した。2019年度について、委員は、設備投資は、景気拡大局面の長期化による資本ストックの積み上がりやオリンピック関連需要の一巡などから減速するほか、個人消費も、下期には消費税率引き上げの影響から減少に転じるとの認識で一致した。そのうえで、委員は、海外経済の成長を背景とした輸出の増加が景気を下支えするとの見方を共有した。この間、消費税率の引き上げが実体経済に与える影響について、委員は、2014年度の前回増税時と比べると小幅なものにとどまるとみられるが、その時々の所得環境や物価動向にも左右されるなど不確実性は大きいとの認識を共有した。
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委員は、実体経済から物価面への波及に関し、特に労働需給の着実な引き締まりに比べ、物価が弱めの動きとなっていることについて議論を行った。この背景として、委員は、企業は人手不足に見合った賃金上昇をパート労働者等にとどめる一方、ITを活用した省力化投資の拡大や、深夜や早朝の営業の取り止めといった既存のビジネス・プロセスの見直しなどに取り組むことで、賃金コスト上昇の吸収を図っているとの見方を共有した。このように、企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっている点について、多くの委員は、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が企業や家計に根強く残っていることが影響していると指摘した。このうち一人の委員は、2014年の消費税率引き上げ後の消費の回復の弱さも、企業の慎重な価格設定行動につながっていると付け加えた。そのうえで、多くの委員は、労働需給の引き締まりが続く中、賃金コスト吸収のための対応にも自ずと限界があると考えられるため、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化していくとの見方を共有した。複数の委員は、労働需給は着実に引き締まっているが、失業率や需給ギャップはバブル期並みの水準には達していないため、2%の「物価安定の目標」を実現するためには、これらの指標が一段と改善
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することが重要であると述べた。ある委員は、米国企業との生産性格差が大きいサービス業では、ビジネス・プロセスの見直しによる生産性の上昇余地がなお大きく、その分、労働需給の引き締まりが賃金・物価の上昇に波及するまでに時間がかかると指摘した。これに対し、別のある委員は、米欧との生産性格差が埋まらなくても、その前の段階で企業の価格設定スタンスが変化することは十分にあり得ると述べた。一人の委員は、人手不足が深刻化する中、長らくデフレに順応してきた企業も生き残りのために変革せざるを得ないと指摘したうえで、物価の上昇に向けて社会のノルム(規範)に変化が生じる環境は整いつつあるとの見方を示した。この間、何人かの委員は、省力化投資やビジネス・プロセスの見直しなどは、短期的には物価上昇を抑制する方向で作用するが、個々の企業にとっては人手不足がビジネスの制約になることを回避するための合理的な判断であり、前向きに受け止めるべきであると指摘した。そのうえで、複数の委員は、こうした取り組みによって経済全体の労働生産性が向上し、長期的な成長力が強まれば、成長期待や恒常所得の増加を通じて需要が押し上げられ、物価に上昇圧力が加わっていくというルートも期待されると述べた。このほか、何人かの委員は、企業の賃金・価格設定スタンスが積極化していくうえで、政府の取り組みの重要性にも言及した。
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このうち一人の委員は、需給ギャップを一段と改善させるには、金融政策だけでなく、需要創出型の構造改革など政府が果たす役割も大きいと述べた。別の一人の委員は、人手不足に直面している企業がコスト削減を優先して値上げを回避するのは、成長期待の乏しさが大きな要因であることから、これを高めるための構造改革が重要であると指摘した。こうした議論を経たうえで、委員は、物価情勢の先行きについて議論を行った。大方の委員は、消費者物価の前年比は、足もと弱めの動きとなっているが、先行きについては、マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくとの見方を共有した。これらの委員は、4月の展望レポートでの見通しと比べると、物価上昇率の見通しは、見通し期間の前半を中心に下振れるものの、見通し期間の終盤にかけては、賃金の上昇を伴いながら、物価上昇率が緩やかに高まるという好循環が次第に作用するとの見方で一致した。そのうえで、これらの委員は、消費者物価の前年比が2%程度に達する時期は、2019年度頃になる可能性が高いとの認識を共有した。この間、複数の委員は、見通し期間中には2%程度に達しないとの見解を示し
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た。委員は、賃金と物価の好循環が作用していくメカニズムについて具体的に議論した。まず、委員は、有効求人倍率がバブル期ピークを上回るなど、労働需給の引き締まりが一段と明確になっている中、マクロ的な需給ギャップは着実に改善しているとの見方で一致した。先行きについても、大方の委員は、わが国経済が緩やかな拡大を続けるもとで、マクロ的な需給ギャップは 2018年度にかけてプラス幅を拡大し、2019年度も比較的大幅なプラスで推移するとの認識を共有した。次に、中長期的な予想物価上昇率について、大方の委員は、①「適合的な期待形成」の面では、当面、輸入物価の動向などが現実の物価上昇率を押し上げるとみられるほか、その後も、マクロ的な需給ギャップが改善していく中で、企業の賃金・価格設定スタンスも次第に積極化してくると考えられること、②「フォワードルッキングな期待形成」の面では、日本銀行が「物価安定の目標」の実現に強くコミットし金融緩和を推進していくことから、中長期的な予想物価上昇率は上昇傾向を辿り、2%程度に向けて次第に収斂していくとの認識を共有した。委員は、経済・物価情勢の先行きの中心的な見通しに対する上振れ・下振れ要因についても議論を行った。まず、実体経済面の上振れ・下振れ要因として、委員は、①海外経済の動向、②企業や家計の中長期的な成長期待、③財政の中長期的な持続可能性、の3点を挙げた。
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物価に固有の上振れ・下振れ要因として、委員は、①企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向、②マクロ的な需給ギャップに対する価格の感応度が低い品目の存在、③今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向、の3点を挙げた。そのうえで、委員は、海外経済の動向や中長期的な予想物価上昇率の動向を中心に、わが国の経済・物価については下振れリスクの方が大きいとの認識を共有した。このうち、中長期的な予想物価上昇率の動向について、委員は、企業の賃金・価格設定スタンスが積極化してくるまでに時間がかかり、物価が弱めの推移を続ける場合には、予想物価上昇率の高まりがさらに遅れるリスクがあるとの見方で一致した。Ⅲ.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要以上のような金融経済情勢についての認識を踏まえ、委員は、当面の金融政策運営に関する議論を行った。金融政策運営にあたって、大方の委員は、企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっている点は注意深く点検してい
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く必要があるが、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されているとの認識を共有した。この背景として、多くの委員は、①マクロ的な需給ギャップが着実に改善していく中で、企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化してくるとみられること、②中長期的な予想物価上昇率は、下げ止まりから一部に上昇する指標もみられているもと、先行きも、実際に価格引き上げの動きが拡がるにつれて、着実に上昇すると考えられること、の2点を挙げた。これらを踏まえ、多くの委員は、現在の金融市場調節方針のもと、強力な金融緩和を粘り強く推進していくことが適切であるとの認識を共有した。何人かの委員は、現在の金融市場調節方針を維持すべきとしたうえで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みには、景気の緩やかな拡大が続き、物価上昇率や潜在成長率が高まってくれば、実質金利の低下や自然利子率の上昇を通じて、金融緩和の効果が一段と強まる仕組みが内在していると指摘した。このほか、複数の委員は、米国や欧州の金融緩和縮小に対する思惑から日本銀行の政策運営への影響を指摘する声も聞かれるが、金融政策は物価の安定という国内目的のためにそれぞれの経済・物価情勢に即して行われるものであると述べた。この間、大方の委員は、「2%」の「物価安定の目標」を実現することが、わが国経済にとって重要であるとの認識で一致した。
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その理由として、何人かの委員は、①消費者物価指数の統計上の上方バイアス、②将来の金融政策の対応力の確保、③グローバル・スタンダードを挙げた。このうち、グローバル・スタンダードについて、これらの委員は、主要国が2%という同じ物価上昇率を目指すことは、長い目でみた為替レートの安定にも資すると述べた。こうした議論に関連し、ある委員は、「物価安定の目標」の達成時期の先送りを繰り返すことは、日本銀行の物価見通しの信認にかかわると指摘したうえで、「できるだけ早期に」2%を実現するスタンスを維持しつつ、物価の安定が経済・金融の安定を含む包括的な概念であることを踏まえ、これを中長期的かつ柔軟な目標と位置付けることが適当であると述べた。また、別のある委員は、2%を「できるだけ早期に」達成するという方針は、政策の自由度を制約し、先行きの金融政策の正常化を困難にするため、これを中長期の目標と明確に位置付けるべきであると述べた。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)について、委員は、前回会合以降、金融市場調節方針と整合的なイールドカーブが円滑に形成されているとの認識を共有した。ある委員は、7月上旬にかけて、長期金利に上昇圧力がかかる局面がみられたが、指値オペの機動的な実施などにより、円滑な金利コントロールが行われているとの見方を
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示した。また、委員は、現行の政策枠組みのもとでは、長期金利の操作目標を実現するよう買入れを運営した結果として、実際の買入れ額は、金融市場の状況に応じて、ある程度の幅をもって変動することを確認した。なお、一人の委員は、10年物国債金利の操作目標である「ゼロ%程度」の範囲をあまりに狭く解釈すると、先行き物価に動意が生じたときに、かえって長期金利のコントロールが難しくなる可能性があると指摘した。以上の議論を踏まえ、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、多くの委員は、以下の方針を維持することが適当であるとの見解を示した。「短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に-0.1%のマイナス金利を適用する。長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約 80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。」長期国債以外の資産の買入れについて、多くの委員は、次回金融政策決定会合まで、①ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約 900 億円に相当するペースで増加するよう買入れを行うこと、②CP等、社債等について、それぞれ約 2.2兆円、約 3.2 兆円の残高を維持すること、が適当であるとの認識を共有した。
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先行きの金融政策運営の考え方について、多くの委員は、①2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する、②消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する、③今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行うとの方針を共有した。これに対し、複数の委員が異なる見解を述べた。このうち一人の委員は、資産買入れ額を金融政策の操作目標とし、その段階的引き下げを確実に図ることで、資産買入れの持続性と市場の安定性を高め、既往の緩和効果を確保していくべきであると主張した。この委員は、イールドカーブ・コントロールのもとでは、時間の経過とともに、長期金利の操作目標を維持しながら、国債買入れの金額をコントロール
§28
することは難しくなっていくとの認識を示した。また、別の一人の委員は、現在の金融市場調節方針について、期間10年までの金利をマイナス圏で固定することにつながりかねず、金融仲介機能に悪影響を及ぼすため、反対であると述べた。なお、この委員は、市場の価格形成や日本銀行の財務健全性に及ぼす悪影響などを踏まえると、年間約6兆円のETF買入れは過大であるとしたうえで、その継続の是非について、今後議論が深まることを期待すると述べた。Ⅳ.政府からの出席者の発言財務省の出席者から、以下の趣旨の発言があった。 7月7、8日に開催されたG20 では、下方リスクに対応し、世界経済の成長を強化するため、金融政策、財政政策および構造改革の全ての政策手段を、個別にまた総合的に用いること等が合意された。 7月18日の経済財政諮問会議において、「平成 30年度予算の全体像」が決定された。同会議における総理からの指示も踏まえ、平成 30年度概算要求基準を決定することとしている。平成 30年度予算編成では、無駄な予算を排除するとともに、人材投資や生産性向上など真に必要な施策に予算が重点配分されるよう、メリハリのついた予算編成を行っていきたいと考えている。 日本銀行が、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に沿って、引き続き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、「物価安定の目標」の実現に向けて努力されることを期待する。
§29
また、内閣府の出席者からは、以下の趣旨の発言があった。 わが国の景気は、緩やかな回復基調が続いている。個人消費の緩やかな持ち直しに持続性がみられ、設備投資も持ち直すなど、家計部門、企業部門ともに改善が進んでいることを踏まえ、6月、半年振りに政府の景気判断を引き上げた。先行きは、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。年央試算では、平成 29年度の実質成長率を 1.5%程度、30年度を 1.4%程度と見込んでいる。物価動向の判断には、GDPデフレーターを含め、各種物価指標を総合的にみることが重要である。
§30
「中長期の経済財政に関する試算」をみても、財政健全化には、歳出改革の着実な推進と持続的な経済成長が不可欠である。そのためには、潜在成長力の引き上げが課題であり、働き方改革に注力するとともに、人材投資や生産性向上等の施策に予算が重点配分されるよう、予算編成を進める。働き方改革は、「働き方改革実行計画」に基づき早期に関連法案を提出する。また、生産性向上に寄与する高度プロフェッショナル制度の創設や企画業務型裁量労働制の見直し等の法改正を早期に図る。 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて着実に取り組むことを期待する。また、2%の達成時期の見通しの変更に関して、日本銀行としての考え方を対外的に丁寧に説明して頂くことが重要と考える。Ⅴ.採決1.金融市場調節方針(議長案)以上の議論を踏まえ、議長から、委員の多数意見を取りまとめるかたちで、以下の議案が提出され、採決に付された。採決の結果、賛成多数で決定された。金融市場調節方針に関する議案(議長案)次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとすること。記1.日本銀行当座預金のうち政策金利残高に-0.1%のマイナス金利を適用する。2.10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。
§31
買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約 80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。採決の結果賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員反対:佐藤委員、木内委員
§32
── 佐藤委員は、短期政策金利を- 0.1%、 10年金利の目標をゼロ%程度とすることは期間 10年までの金利をマイナス圏で固定することにつながりかねず、金融仲介機能に悪影響を及ぼすとして反対した。木内委員は、国債市場や金融仲介機能の安定の観点から、短期政策金利は+0.1%が妥当であり、長期金利操作目標は国債買入れペースの一段の拡大を強いられるリスクがあるとして反対した。2.資産買入れ方針(議長案)議長から、委員の多数意見を取りまとめるかたちで、次回金融政策決定会合まで、①ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約 900 億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う、②CP等、社債等について、それぞれ約 2.2 兆円、約 3.2 兆円の残高を維持する、との資産買入れ方針とすることを内容とする議案が提出され、採決に付された。採決の結果、賛成多数で決定された。採決の結果賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員反対:佐藤委員、木内委員── 佐藤委員は、約6兆円のETF買入れは、市場の価格形成や日本銀行の財務健全性に及ぼす悪影響などを踏まえると過大であるとして反対した。
§33
3.資産買入れ方針(木内委員案)木内委員から、資産買入れ額を操作目標とする枠組みとしたうえで、次回金融政策決定会合までの資産買入れ方針に関して、「①長期国債について、保有残高が年間約 45 兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。買入れの平均残存期間は7年程度とする。②ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約 300 億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。③CP等、社債等について、それぞれ約 2.2 兆円、約 3.2 兆円の残高を維持する。」、との議案が提出され、採決に付された。採決の結果、反対多数で否決された。
§34
採決の結果賛成:木内委員反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、佐藤委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員4.対外公表文(「当面の金融政策運営について」)以上の採決結果を踏まえ、議長からは、対外公表文(「当面の金融政策運営について」<別紙>)が提案され、採決に付された。採決の結果、全員一致で決定され、会合終了後、直ちに公表することとされた。Ⅵ.「経済・物価情勢の展望」の検討続いて、「経済・物価情勢の展望」の「基本的見解」の文案が検討され、多数意見が形成された。これに対し、佐藤委員からは、①物価見通しについて、「2%程度に達する時期は、2019年度頃になる可能性が高い。」を削除すること、②先行きの金融政策運営について、「消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。」を削除すること、を内容とする議案が提出され、採決に付された。採決の結果、反対多数で否決された。
§35
採決の結果賛成:佐藤委員反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、木内委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員木内委員からは、①経済見通しについて、「2018年度までの期間を中心に、景気の拡大を続けるとみられる」とすること、②物価見通しについて、「しばらくの間は、かなり緩やかに上昇率を高めていくと考えられる」とすること、③中長期的な予想物価上昇率の見通しについて、「概ね現状程度の水準で安定的に推移するものとみられる」とすること、④マクロ的な需給ギャップの見通しについて、「概ね中立的な水準を維持していくとみられる」とすること、⑤先行きの金融政策運営について、「中長期的に2%の「物価安定の目標」の実現を目
§36
指し、金融面からの後押しを粘り強く続けていく。今後とも、2つの「柱」、すなわち、最も蓋然性が高いと判断される見通しと中長期的観点から重視すべきリスクの点検を踏まえた柔軟な政策運営のもとで、資産買入れ策と実質的なゼロ短期金利政策をそれぞれ適切と考えられる時点まで継続する」とすること、を内容とする議案が提出され、採決に付された。採決の結果、反対多数で否決された。採決の結果賛成:木内委員反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、佐藤委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員議長からは、会合における多数意見を取りまとめるかたちで、「基本的見解」の議案が提出された。採決の結果、賛成多数で決定され、会合終了後、直ちに公表することとされた。また、背景説明を含む全文は、7月21日に公表することとされた。採決の結果賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員反対:佐藤委員、木内委員Ⅶ.議事要旨の承認議事要旨(2017年6月15、16日開催分)が全員一致で承認され、7月25日に公表することとされた。以上
§37
2017年7月20日日本銀行当面の金融政策運営について日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成7反対2)(注1)次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約 80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。(2)資産買入れ方針(賛成7反対2)(注2)長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。① ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。② CP等、社債等について、それぞれ約 2.2 兆円、約 3.2 兆円の残高を維持する。以上
§38
(注1)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員。反対:佐藤委員、木内委員。佐藤委員は、短期政策金利を▲0.1%、10年金利の目標をゼロ%程度とすることは期間 10年までの金利をマイナス圏で固定することにつながりかねず、金融仲介機能に悪影響を及ぼすとして反対した。木内委員は、国債市場や金融仲介機能の安定の観点から、短期政策金利は+0.1%が妥当であり、長期金利操作目標は国債買入れペースの一段の拡大を強いられるリスクがあるとして反対した。(注2)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員、櫻井委員、政井委員。反対:佐藤委員、木内委員。佐藤委員は、約6兆円のETF買入れは、市場の価格形成や日本銀別紙 行の財務健全性に及ぼす悪影響などを踏まえると過大であるとして反対した。なお、木内委員より、資産買入れ額を操作目標とする枠組みとしたうえで、長期国債保有残高が年間約 45 兆円、ETFが約1兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うなどの議案が提出され、反対多数で否決された。