高田審議委員記者会見(2026年2月26日)
全文
§1Question
二点ほどお伺いします。一点目が、本日の金融経済懇談会ではどのような意見交換が行われたかということですね。二点目は、京都府の経済の現状および先行きについてどのようにご覧になっておられるのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
§2Hajime Takata
今日の懇談会では、こちらの京都の行政、経済界、金融界を代表する方々から地域経済が直面する課題の取り組みに関する貴重なお話ですとか、日本銀行の金融政策運営に関して貴重なご意見を承った次第であります。非常に有益で示唆に富むご意見を頂いたということについて、この場を借りて改めて出席頂いた方に御礼を申し上げたいと思ってます。懇談会では、いろいろなお話を伺ったのでなかなかそれを網羅的にお話するわけにもいかないのですけれども、私なりに整理をして、印象とか感想を申し上げたいと思います。まず足元の経済の状況ですけれども、地域間や業種間、規模毎に景況感の差はありますけれども、全体としてみれば回復の動きが続いているというご意見が多かったと思います。こちらの製造業の生産では、京都特有という部分もあると思うのですが、世界的な AI 関連需要の追い風を受ける企業が多く、非常に高操業が続いているということがあります。それから観光面では、訪日外国人観光客の増加を受けまして宿泊のところでは高い稼働率を維持しつつ、客室単価も上昇を続けているというお話を承りました。ただ、中小企業においては、企業経営を取り巻く各種のコスト上昇に対して、価格転嫁がなかなか進まないと、それから企業収益が圧縮されて事業継続にも必要な人材確保に十分な賃上げが難しいとのご指摘も承っています。
§3Hajime Takata
こうしたもとで、人材確保や人材の引き留めに向けて、人手不足感が強まる中で継続的な賃上げを実施していくためには、 DX でありますとか AI 活用を含めた合理化、それから生産性向上が不可欠であるというようなお話を中小関連の方からも伺ったというのは非常に心強いことかなというふうに思います。皆さま方からも、官民連携の各種取り組み、それから金融面でのサポート、それは単なるお金だけではなくて事業改善支援とか事業承継であったりとか、幅広いサポート、具体的なサポートというのでしょうか、こうしたところに対しても尽力をしたいというお話があったということであります。一方、私ども日本銀行に対しては、物価上昇、金融政策に基づく金利上昇など、これが地域の金融・経済に与える影響、中でも中小企業というのでしょうか、目配りをしてほしいというようなお話を承ったということで、それに対してわれわれも適切な政策運営を行っていきたいというふうに思った次第であります。われわれとしては、今後とも、この中央銀行の立場から、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇するメカニズムが維持されるもとで経済の持続的成長を目指していくということ、それから金融システムの安定を確保すること、これを通じて関係の方々のご尽力が、地域経済の健全な発展につながっていくよう改めてサポートしていきたいというふうに思います。
§4Hajime Takata
それから二番目に頂いたご質問に対してということなのですけれども、われわれ定期的に日本銀行の京都支店の方が、管内の金融経済概況を報告してまして、直近が2月10日になるのですけれども、京都・滋賀の景気については、一部に弱めの動きがみられるものの緩やかに回復しているとの判断を示しております。この景気回復の背景につきましては、まず供給面では、製造業の生産が世界的な AI 需要拡大の波及を受ける業種、それら分野を中心に高操業を続けていること、これが下支えになっているというふうに思います。それから需要面では設備投資が増加傾向にあるほか、観光面でもですね、訪日観光客の増加がこちらの経済成長を押し上げているというふうに考えております。ただし一方で、これはもう全国的にもあるのですけど、一部に弱めの動きとして、家計の支出については食料品を中心とした物価高騰もありまして、どうしても節約意識というのでしょうか、これが強まってスーパーでありますとか小売業者辺りから指摘されているという点があろうかと思います。それから、今後については、製造業の生産では、 AI 関連需要が下支えすると見込まれますけれども、観光面においては春の行楽シーズンの予約が順調という声も聞こえておりますし、全体として堅調さを維持していくと思っています。
§5Hajime Takata
ただ、グローバル経済の行方や、現在拡大しております AI 関連のところの持続性、それから為替環境、グローバルサプライチェーンですとかそれに基づく変化だとか、なかなかこの京都だけにとどまらない金融環境に対する不確実性はあるものですから、こうした不確実性が、京都の経済、それから物価に与える影響は十分注視していく必要があるかなと思います。それからもう一つ加えるとすれば、やはりこの京都の伝統と革新というのでしょうか、こうしたものに対して私もきわめて感銘を受けたということでもありますし、また、これだけコンパクトにまとまった中に、政・官・金融それから事業というのでしょうか、こうしたものがオープンイノベーションをもたらしているといったようなことに、特色を感じたという次第であります。
§6Question
私から、利上げに関して二点ほどお伺いしたいんですけれども、午前中の講演では、高田さん、物価目標は概ね達成しているとして、今後も段階的にギアシフトを行っていく途上にあるというご指摘をされています。段階的にということは、これはやはり次の 1% で終わりではなくて、更なる利上げも視野に入れているということかなと理解するんですけれども、現時点で考えられている、適切な利上げペースあるいはターミナルレート、こういったものをどういうふうに考えているかというのを伺えますでしょうか。市場では 4月までで 1 回、年内 2 回の利上げという見方が多いと思いますけれども、もう少し早いペースでの利上げも必要になると想定していらっしゃるのかどうか、その辺りを伺えますか。これがまず一点です。もう一つ関連して、仮に 3月とか 4月に利上げが行われなかった場合、物価が予想以上に上振れするリスクや、意図せざるビハインド・ザ・カーブが生じるリスクが、どの程度高まるというふうに考えられていらっしゃいますでしょうか。
§7Hajime Takata
今ご指摘頂いた点なのですけれども、私自身はもう去年から物価目標のところは概ね達成というような言い方をしておりますので、そういう意味からしますと、もう既に今年1月の会合のところでも、利上げの提案をさせて頂いてるということでございますので、これからはともかくとして、一応そういうスタンスであるということはまず申し上げておきたいということだと思います。そういう状況でありますから、ある程度段階的にこれからも対応していくというようなことは基本的なスタンスとしてみているということです。ただ、今ご指摘頂いた点なのですけれども、ペースでありますとか、ターミナルレートというのは、これは今の時点ではなかなか分かりづらいというふうに私も思っていまして、というのはやはり今後の経済とか物価とか、もしくは金融環境とかですね、こうしたものにやっぱり左右されるということ。
§8Hajime Takata
それから、私も今年1月の段階でも先ほど申し上げたように、利上げをということで申し上げているのですけど、その背景には、海外のところの影響がやはり随分大きいかなというふうに思っておりまして、今回のこちらの講演の中でも、今年2026年は回復に向けた転換局面であるというような現状認識をさせて頂いておりますので、その辺のところの具合もやはり十分に考慮に入れたうえで、国内だけではなくて海外の状況というのでしょうか、よりそちらのところも考えておきながら対応したいというふうに思っております。ですから、良く中立金利でありますとかターミナルレートというか、いろいろ議論はありますけれども、なかなか今、国内の要因のところだけでその辺のところを簡単に申し上げられるというような状況ではないかなと。そこはもう少し環境認識というのでしょうか、その辺を見極めたうえで考えていく必要があるというふうに思いますし、またペースについても、なかなか例えば何か月とか、半年だとか 1年だとかそういう別に決まったものがあるわけでも全くないわけでありますから、あくまでも環境次第と、データ次第といいましょうか、また金融環境次第というようなことでやっぱり考えていくべき。
§9Hajime Takata
特に先ほどから繰り返しになりますけれども、今年2026年というのは海外環境も含めて大きな変化の [年 ]ということでもありますから、その辺は予断を持ってみることではなくて、環境についてじっくり見極めていきたいと、そんなふうに考えているところであります。それから今後の動向ということも含めて 3月、 4月にという、あまり仮定の条件を置いた議論というのはなかなかしづらいとは思ってるのですけれども、私としては別に今の段階でビハインド・ザ・カーブになっているとは思いません。ただ、今日の講演の中でもそうなのですけれども、状況によってはそのリスクがあるケースもあるわけでありますから、極力そういうことにならないような対応を取りたいという認識、それが先ほどの前半のところで申し上げた、私の認識でありますとか、またもしくは 1月の段階で私なりの提案をさせて頂いたといったところの背景になるというふうにご理解頂ければと思います。
§10Question
昨日、日銀の新たな審議委員の人事案が発表されたと思うんですが、そこで報道では利上げに慎重な二人が選ばれたというふうにされています。これが、日銀の今後の利上げに影響はあるのでしょうかというのが一点目です。二点目なんですけども、それで、円安がまた進んでいます。現在 156 円近辺という水準ですけれども、この円安が、物価高にどう影響するのかっていう点についてお考えをお聞かせください。
§11Hajime Takata
最初にご指摘頂いた、審議委員についてはですね、両議院の同意を得て内閣が任命するということになっていますので、私があまりコメントできる立場ではないということでご理解頂ければと思いますし、また、それについてはコメントは差し控えさせて頂きたいということであります。それから為替のところなのですけれども、この為替のところについてどう受け止めるか、その影響をどう考えるかということになるのですけれども、これはなかなか難しい状況といいましょうか、実は今日も参加者の中からは、為替についてのコメントも結構ありましたし、またやっぱり今の為替の円安の中で、やっぱり物価が上がっているのでというようなご指摘もあった次第であります。ですから、そういう意味でいいますと、この為替についてはプラスの面もマイナスの面もあるということじゃないかなというふうに思っていまして、こちらの京都なんかインバウンドについては円安の方がっていうような部分もあるでしょうし、また大手の輸出企業も京都にはありますから、そうしたところについては、それはもちろんプラスということではありますが、ただ今日ご参加頂いた比較的中堅・中小の方々からは、どちらかというと物価が上がってというようなご指摘があったと。
§12Hajime Takata
それから最近の状況について、この為替の状況の影響ということで考えますと、やっぱり企業行動が前向きになってきているというような、価格設定行動が前向きになってきてるという行動もありますので、為替のところが物価に影響しやすくなってきているという点は、やはりあるんだろうと思っています。また同時にこの物価の影響が、基調的な物価上昇率にある程度影響を与えていくというような部分なんかもありますので、そういう面からわれわれもこの物価のところは非常に重視をして考えているということでもありますし、私自身は先ほどから申し上げておりますように、既に物価の目標のところを概ね達成をというような認識ということでもありますので、かねてからということでもあるのですけれども、この為替というのは、経済・物価、いろいろなものに影響を与える重要なファクターであるので、これについてはこれからもよく見ていきたいなと、そんなふうに考えている次第でございます。
§13Question
二点あるんですけれども、一点目は、もう既に概ね物価目標を達成されているというお考えであれば、基本的には毎回の決定会合で利上げをご提案されるという理解でいいのか、という点が一点目です。二点目は最近の長期金利の動きで、ご講演でも少し触れられているんですが、この長期金利の上昇の背景の一つに、政権の財政政策への不安、あと日銀の利上げが遅いためにインフレが高進するのではという、そういった構造的な要因、需給だけでない日本の経済政策に対する懸念っていうのを反映しているということも言えるかと思うんですけれども、こうした財政に対する不安、これが長期金利の動きを不安定にするリスクっていうのはどのようにお考えでしょうか。債券市場に精通していらっしゃる高田委員の考えを是非伺いたいと思います。
§14Hajime Takata
まず一点目なのですけれども、これは繰り返しになりますけれど、私ももう去年から概ね物価目標のところは達成をという言い方をさせて頂いております。そういう状況の中で、お前 3月どうすんだ、 4月どうすんだというご質問かもしれませんけれども、これに関しては、その時々に考えていきたいということなので、今の段階でどうするというようなことを申し上げられる立場ではないということだと思います。ただ、基本的な前提として先ほど申し上げたように、既に 2% の物価目標達成というようなことでもあると認識をしているという、そこの認識は少なくとも今の時点では変わっていないということでもございますし、またそこの中で、これからの環境がもちろんどう変化するかということもありますから、そこのところ次第でということではありますけれども、今の段階で申し上げるとしたら、その辺かなというふうに思います。それから二番目の長期金利のところなのですけれども、今日の講演のところでも申し上げたのですけれども、長期金利のいろいろな決定要因というのでしょうか、これにはいろいろなファクターがあると思っています。
§15Hajime Takata
一つは、日本銀行が決める政策金利みたいな部分もありますし、それからある程度長短金利差を中心としてリスク・プレミアムというのでしょうか、そういうようなファクターというものもあると思いますので、特に後者のリスク・プレミアムというような部分については、様々な要因が絡んでくるのは確かです。そういう中で、市場の方々がいろいろなところを気にされるというところで、これはもう市場参加者の意識によっても随分変わってくるということだろうと思います。もちろん需給という部分もあるでしょうし、またその需給というのはこれからのいろいろな政策というのでしょうか、発行とか、償還であったりとかいう部分もあるでしょうし、また市場の中での債券に対するニーズみたいなものもあるだろうと思いますから、そういうものをやっぱりよくよく見ていきたい。またそれは変化の要因でもございますから、そこはよく見ていきたいというふうに思っています。
§16Hajime Takata
財政ということでありますと、これはもう政府、それから国会でのということとなりますから、われわれの方としては、そこのところについて、今申し上げられる状況でもないということではありますけれども、ただ一般論として申し上げれば、そうしたところが不安定要因になるものもあるわけでありますから、そこのところに対して一定の安定を保ったような状況というものを重視していきたいなというふうに思っているということでございます。
§17Question
私から二点伺いたいと思います。一点目は、高市政権とのコミュニケーションについて伺えればと思います。段階的なギアシフト、利上げというものを進めていくうえで、高市政権とのコミュニケーションも欠かせないと思いますが、委員ご自身としては、これまでのコミュニケーションをどのように総括されていて、課題感等を感じられているのか、何が必要なのかということをどのようにお考えになってるかっていうのを伺いたいです。もう一点、京都府経済の関連で伺いたいんですが、最後のところで新たな屋台骨ということで新しい事業の創出、成長をということをおっしゃっていますが、委員の中で何か具体的なイメージみたいなものがあるのかっていうのをちょっと伺えればと思います。
§18Hajime Takata
高市政権とのコミュニケーションということでございますけれども、正直申し上げて私自身がコミュニケーションしているわけでもないものですから、そこのところはあくまでも一般論ということで、そういう意味での市場とのというか、また当然のことながら、政府の政策との意思疎通というか、そこは非常に重要だなというふうに思ってます。そのうえで私自身今考えておりますのは、私自身もそれから日本銀行もそうだと思うのですけれども、やっぱり非常に持続的な成長というのでしょうか、しかも安定的な成長をやはり重視したいということだと思います。これまで日本はなかなか大変なデフレ下というものに非常にあったわけでありますから、そういう状況がようやく日の目を見るというか、デフレを脱却してきたというような状況で、私の先ほどの言葉で言えば、概ね物価の目標がというような状況でもあるわけであります。
§19Hajime Takata
しかもそれをより持続的なものとしていくためには、やっぱり成長というようなものも重要であって、これまでもデフレで成長もないような状況からすれば、そこを回復していきたいと、そこに対して今政権の方も成長戦略でありますとか、もしくは景気対策であったりとか、そういうようなかたちで成長を高めていくというのは、ある面では非常に望ましいことだと私は思いますので、そうしたものをよりサポートするような、ただし同時に日本銀行の立場とすれば、物価のところ、それを持続的に安定的にというようなことを考えながらということだろうと思いますので、そういう意味では、そうした面でベクトルを合わせながら、高い日本の成長に向けてという気持ちだと私は理解しております。それから二番目にご指摘頂いた、新しい事業というのでしょうか、非常に重要な議論じゃないかなと思っています。特にこの京都経済ということでいいますと、伝統と革新というのでしょうか。伝統の中から新たなものが出てきてということですから、今の例えば、世界的なこの AI のブームにおける日本の産業を牽引していく、また世界を牽引していくような企業が京都から出てきてるわけでありますけれども、そうしたところなんかも、一つの事例なんだろうと思います。
§20Hajime Takata
それからグローバルニッチといわれるような企業群なんかも出てきておりますので、なかなか今のこの場で具体的なお名前まで申し上げるわけにはいかないのですけれども、やっぱりそうしたところが非常に重要になってきているということ、また、そういう企業群の存在というものが、こちらの京都の特色になっていますし、またそういうものを、私も先ほど申し上げた点でもあるのですけれども、ある程度狭いこの地域の中でコンパクトに練り上げられるような、コミュニケーションをつけながら出ていくような風土が何かあるのかなというふうにも思ってまして、その辺の鍵は何なのかというのは私も皆さんにお聞きしたいようなところもあるのですけれども、そこを重視していきたいなというふうに思っています。
§21Question
午前中の講演で国債市場のところについて結構分量を割かれていまして、その点についてお伺いしたいんですけれども、減額についてはゆっくり時間をかけてやっていってもいいんじゃないかという趣旨のお話があったと思うんですが、これはおっしゃるように今年の 6月にも中間評価というのはありますけど、別に何か急いで減額をする必要はないんじゃないかというお考えをお持ちという理解でよろしいのかどうかということと、あともう一点、例外的な状況では、柔軟に対応ということなんですけれども、この文章を細かいところまで書かれてることを見ると、どちらかというと柔軟に対応していく必要性というのを、何か重きをおかれていらっしゃるのかなっていう印象を持つんですけど、そういった点どういうふうにお考えになっているんでしょうか。
§22Hajime Takata
国債の減額のところについて、もう既に始められておりますので、その流れの中でということだと思います。それから、 6月にまた中間評価をということになるのですけれども、別にその前に何とかとかいうことよりも、今日申し上げたのは、あくまでも一般論的なところということかと思います。ですから、もちろん YCC も止めてるわけでありますし、自由なもしくは市場機能にということではありますけれども、やはりその変動具合によっては先ほども申し上げたリスク・プレミアムが上がり過ぎてしまうと、そうなると逆に市場機能が歪んでしまったりとか、市場機能が不全になってしまうリスクというのは、私もこの 40年間債券市場を見ておりますと、やっぱり局面局面によっては起こることもある。ですから、そういう意味からすると、ある程度時間をかけながら、丁寧に対応していくというのはやっぱり必要なんだろうなというのが、前半部分のところであります。それから、それと関連する部分もあるのですが、後半部分でご指摘頂いた例外的な状況というのでしょうか、そういうリスク・プレミアムが過度に上がってしまうような状況、そういったときには、やはりある程度オペも含めた、そういう思案に入れるというか、そういうメニューもある程度念頭に置きながら対応していくというのは、こういう局面においては、一つ重要な点ではないかと。
§23Hajime Takata
それをすぐにどうするかということは別にしても、少なくともそういうメニューというものが存在するということを念頭に置いて考えていくということは、私は重要じゃないかなと思ってますので、そのための様々な手段というのはいくつかございますけれども、そういうものをある程度念頭に置きながら、そんなかたちで私自身も考えているということであります。
§24Question
本日の懇談会で、中国との関係悪化に伴う影響の話が出たかどうかということと、あと、この中国関係悪化の影響が今後の利上げ判断に影響するかどうかはどう見てらっしゃるか、これについて、よろしくお願いします。
§25Hajime Takata
今日の懇談の中では特にその話は出ておりません。ただ私もこちらに参りましてからいろいろな方とお話をさせて頂いてますし、私自身も場合によってはインバウンドのところで影響があるのかどうかということも、一つの関心点ではありました。その観点からしますと、いろいろお話をお伺いしておりますと、インバウンドのところ、観光のところについて、もちろんある程度その減少というものはあるけれども、その部分、国内部分が増えたりとか、他の国からの方が増えたりしてらっしゃるということなので、当初私が思っていたほど、あまり影響はないのかなというふうには思っているところでございます。ただもちろん、これは業種によっても、また同じ観光でも、分野によって多少影響がございますので、そこはややまだらな影響はあるのかなというようには思っています。
§26Hajime Takata
それから中国との関係がこれからの金融政策にという点なのですけれども、もちろん、全てのことが風が吹けば桶屋ですから、全てのことはわれわれも考えながらということではありますが、ただ逆にいえば、海外の大きな要因の中の一つとしてはもちろん考えておりますけれども、それが全てというようなものでもないということではありますので、世界の中でもいろいろなことが起きておりますので、そうしたものをわれわれも常に注視しながら、もちろんその中には、中国のところの状況というものも考えてはおりますけれども、それが全てということではないというふうに考えていきながら、いろんなものに目配りをしながら、われわれも今後の対応を考えていきたいなというふうに思っています。
§27Question
冒頭の質問に被るんですけれども、金融政策について、利上げのペースとか具体的に何月にっていうのはもちろん都度都度お考えっていうことを理解したんですけれども、挨拶文でですね、「もう一段のギアシフト」と記載されてまして、この「もう一段の」が示す意味合いっていうのは、早期にまず 1% に上げるべきっていう感じなのか、それともペースをもう少し早めた方がいい、何か具体的なイメージがなくても早めた方がいいのか、何かその辺どういう意図で入れられたのか教えてください。
§28Hajime Takata
正直申し上げてそんなに深い意図があるわけではないというところなので、全般的にギアシフトという言葉を使わせて頂いております。そういう意味でいうと、この5、 6年を振り返りますと、海外なんかでは非常に早いペースだとか、場合によっては倍速、 3 倍速でみたいな話があったわけでありますけれども、日本の場合は別にそういうような状況ではないということだと私は思っていますので、そういう意味では、普通の通りの段階的にというようなかたちでですから、私も 1月の段階で提案をさせて頂いておりますが、そこではあくまでも 0.75[% ]から 1% へというような段階でというようなことでもありますし、またそれはもう一段のギアシフトと言われれば、そういうことだと思っていますので、正直申し上げてそんなに深い意味で申し上げたわけではないので、ちょっとがっかりされるかもしれませんけれども、そんなところが私の今の考えであります。
§29Question
質問は京都の企業金融環境についてのことでございまして、二面あるのですが、一つは倒産の件数が去年、京都の場合でも他の地域もそうかもしれませんが、年間の倒産件数が十数年ぶりの多さになっておりまして、こういったことは今日の懇談の中で話が出たのかどうかということと、および金利の上昇とか、あるいはゼロゼロ融資とかそういう一般的な話あるんですけど、京都において何か特異なものとか、あるいは注目すべきこととかありましたら教えてください。もう一個は、企業の会計の不正に揺れる企業が、京都の大企業でもありまして、ご存知かと思いますけども、そういう中でその一社に限らず、他の会社でも、事の大小はあれ、結構会計の不正がこのところ相次いでおりますので、これが京都の企業における環境とか、ないしは広く見て日本の信認とか円の通貨の信認とかに関して何か影響があるかどうかについてご見解を頂けますでしょうか。
§30Hajime Takata
京都の金融ということだと思うのですけれども、私もすいません、具体的にあまり京都の倒産状況ということを把握しているわけではないのですけれども、ただご指摘のように今日の懇談の中でも、京都の中における倒産のことを、課題とされるお話も何件か出ております。これは私もいくつかの地域もお邪魔させて頂いてますけれども、最近でいうとやはり倒産件数がちょっと増えてます。ただ、全般的に申し上げるのは、これは別に京都だけではないのですけれども、件数は増えてるのですが、全体の倒産額といいましょうか、もしくは金融機関の側からいうと信用コストにすごく影響を与えるというような状況ではあまりないということだと思います。ただちょうど 2020年以降のゼロゼロ融資というようなところで、これがある程度終わったということ。それからもう一つは、やはり私どももそうなんですけれども、2024年からわれわれ利上げを始めております。それからちょうどベアにつきましても、 2023年ぐらいからというかたちで上がってきた。それからその頃から物価も上がってきてます。
§31Hajime Takata
それから仕入れコストも上がってきてるというような、いわゆる価格、賃金、それから金利も上がってきてるというような状況も出てきておりますので、そういうような状況の中で、どうしてもそれに対応しづらいというようなかたちの中で、一部倒産が出てきたりとか、場合によってはその中での事業承継、事業の継続ということに対しての問題が生じてくるというような部分で、倒産から事業承継、M&A といったような動きが出てきている。これは全国的な動きでもあるのですけれども、京都の中においても、当然出てきている現象だというふうに思っています。ですから、この辺については今日の懇談会の中の皆さま方の課題認識の中にもあるのですけれども、その中で特にやはり今回われわれも非常に感銘といいましょうか、関心を持ったのは、金融機関の側も、そうした動きに対応していく必要があるのではないかと、すなわち、単純に貸出というようなことだけではなくて、それに対応した再生であったりとか、それをより具体的に個別で対応していくというか、そういうようなことを気にしていきたいと、対応していきたいというようなことをおっしゃる金融機関が増えてきているというのも、一つの京都の中の特色でもあるのではないか、そういう意識を持った金融機関の関係者が増えてきてるのではないかというところは重要な点ではないかなというふうに思います。
§32Hajime Takata
それから二番目のところの会計の問題ということなのですけれども、特別に私の方で個別の企業のところに、あまり申し上げることもないのですけれども、ただ、京都に限ったことではないのですけれども、私も倒産の動向、全国的に拝見しておりますと、やはり一部そういう会計のところの問題が出てきてるということだろうとは思います。ただこれが、京都の一つの特色になったりとか、特筆される点ということでも私はないのかなというふうに思っているところではありますけれども、ただ、先ほど申し上げた、その前半部分の倒産の動向でありますとか、そういう部分も含めて、一つの変化の時期というような状況の中で、こうした現象がやや生じやすい部分というのも、この局面としてはあるかもしれませんから、そういう中で金融機関の側、それから資本市場の側というんでしょうか、そういうふうな状況の中で、より目配りをしていくというか、そういうことが重要なのではないかなというふうに思っている次第でございます。以上